• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「本当にやりたいことに集中する」が生み出すマネジメント思想

コリンズとドラッカー

2012年10月23日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 東日本大震災が引き起こした福島原発事故、中東世界で広がった民主化要求運動「アラブの春」、ギリシャに端を発したユーロ圏債務危機、ここにきて拡大・過激化する反米・反日デモ――。世界はますます不確実でカオス(混沌・無秩序)的な様相を呈しているようだ。

 不確実・カオス的な環境下でも卓越した実績を出す企業がある。米経営学者ジム・コリンズの最新作『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』では「10X(十倍)型企業」として紹介されている。10X型企業を率いる経営者の特徴について、コリンズはこう書いている。

 〈まずは、一貫した価値観、長期目標、評価基準を設ける。次に、これらを維持するために狂信的規律を導入する。もしこんな規律を導入したことによって常軌を逸した行動を求められたとしても、全然気にしない。外部からの圧力に屈しないのはもちろん、社会規範すら気にしない。不確実で容赦ない環境に置かれている時、確実に負ける良い方法がある。付和雷同である〉

 付和雷同と正反対の代表格は誰か。ちょうど1年前の2011年10月に他界したアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズを挙げる人が多いのではないか。

ジョブズはアップルを当初の原則へ立ち戻らせた

 『自分の意志で偉大になる』の中では、アップルは10X型企業のマイクロソフトに完敗した負け組と位置づけられている。だが、これは調査対象期間が2002年に終わっているためだ。コリンズによれば、1997年にジョブズが復帰した以降のアップルは10X型企業であり、その立役者はもちろんジョブズだ。

 ジョブズは2005年6月の米スタンフォード大学卒業式で伝説的スピーチをしている。

 「人生の時間は限られています。だから、他人の人生に引きずられて自分の時間を無駄にしてはいけません。ドグマに縛られてはいけないということです。ドグマとは、他人の思考なのですから。(中略)最重要なのは、自分の気持ちと直観を信じる勇気です。実は、本当に何をやりたいのかすでに分かっているはずです。ほかのすべては二の次で構いません」

 本当に何をやりたいことはどうすれば分かるのか。ジョブズは17歳の時、「きょうが人生最後の日だと思って生きていけば、いつかきっとうまくいく」という一文を読み、大きく影響されている。

 「以来33年間にわたって鏡の前で毎朝『きょうが人生最後の日なら、これからやろうとしていることを本当にやりたいだろうか?』と自問するようにしています。答えが何日も続けてノーならば、何かを変えなければいけません」

 私は『自分の意志で偉大になる』の翻訳のため同書を精読し、この時にコリンズによるジョブズ分析を初めて目にした。「注目すべきなのは、復帰後のジョブズはアップルを大改革したのではなく、アップルを当初の原則へ立ち戻らせたということだ」といった訳文を書いているうち、ジョブズのスピーチを思い出さずにいられなかった。

 なぜなら、ジョブズは本当にやりたいことに熱中するあまり、常軌を逸した行動もいとわなかったし、外部からの圧力にも屈しなかったし、社会規範すら気にしなかったのだから。こうすることで、破壊的な技術革新が日常的に起きる不確実・カオス的業界に身を置きながら、アップルを世界で最も価値ある企業へ育て上げたのである。

コメント0

「21世紀のマネジメント思想とは何か」のバックナンバー

  • 2012年10月23日

    「本当にやりたいことに集中する」が生み出すマネジメント思想

  • 2012年8月24日

    コリンズとドラッカー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員