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丹羽大使、お疲れ様でした!

2012年10月18日(木)

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 まもなく丹羽宇一郎・駐中国日本大使が帰任する。当初は10月中旬にも大使交代が予定されていたが、後を継ぐことが決まっていた西宮伸一氏(元外務審議官)が急死。難航していた後任人事も木寺昌人・官房副長官補に内定し、11月中にも丹羽氏は日本に帰る。2010年7月末に中国大使に赴任してから2年余り。戦後初の民間大使として赴任した丹羽氏は尖閣問題に翻弄され続け、期待されていた成果は上げられぬまま帰国の途につく。

批判を受けた大使発言

 「今回、ふっかけてきたのは日本側だ」

 沖縄県・尖閣諸島(中国名は釣魚島)の問題について中国人と話をすると、必ず指摘されるのは石原慎太郎都知事による尖閣諸島の購入計画だ。今年4月16日、米ワシントンで講演した石原郎知事は尖閣諸島の購入計画を唐突に発表した。

デモが沈静化した後も北京の日本人大使館の前はバリゲードが置かれ、武装した警察が警備に当たっている。

 都庁の幹部ですら「寝耳に水」だったと言うのだから電撃発表に違いない。石原都知事はかねて領海侵犯を繰り返す中国へ危機意識を持っており、同時に尖閣諸島を巡る民主党政権の対応についても不満も抱いていた。同行する記者団には「面白い話だろ。これで政府にほえずらをかかせてやろう。何もしなかったんだから、連中」と語ったとされる(2012年4月19日付毎日新聞)。

 玄葉光一郎外務大臣は4月17日の記者会見で、政府の対応が不十分だとする石原都知事の主張に対して「(政府が)何もやっていないということは全くない」と反論した。しかし、政府は東京都に背中を押されるように島の国有化を進めていった。

 こうした流れに真っ向から反論したのが丹羽大使だった。石原都知事が購入計画を発表してから2カ月後の6月、英紙フィナンシャル・タイムズの取材に対して丹羽大使は、「(購入計画が実行されれば)日中関係は極めて重大な危機に陥る」と懸念を表明した。

 噛み付いたのは当の石原都知事だ。「少なくとも日本を代表して北京にいる人物ではない」と語り、罷免を求めた(6月9日付日本経済新聞)。

 この時点では日本の世論も石原都知事の考えに近かったのではないか。6月9日付の産経新聞は「尖閣発言、国益損なう大使は更迭を」と題する「主張」を掲載し、読売新聞も12日付で「丹羽大使発言、『尖閣』で対中配慮は無用だ」という社説を載せている。

石原都知事は最初からグルだった?

 だが、結果はどうだったか。日本政府は地権者から土地を購入する形で9月11日に尖閣諸島の3島を国有化した。その後の経緯は読者の皆さんもよくご存じの通りだ。丹羽大使が予言した通り、日本と中国は国交正常化40周年という節目の年にもかかわらず重大な局面を迎えた。

 多くの日系自動車メーカーの中国における販売台数は9月、前年同月比で半分以下に落ち込んだ。公共事業など中国政府による調達においても、日系企業は入札に参加することすら許されていない。今後、中国事業がどこまで悪化するのか、日系企業は先行きがまったく見通せない事態に追い込まれている。

 中国側は当初、石原都知事の購入計画を静観していた。中国に対して攻撃的な発言を繰り返す石原氏に対しては、中国内で「極右」というイメージが固定化している。だから今回の購入計画も一連のパフォーマンスの一環であり、実現することはないと読んでいた節がある。

コメント20

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「丹羽大使、お疲れ様でした!」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師