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社長の右腕は大学生

市場開拓、経営再建を担う若き英知

2012年10月19日(金)

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 斜陽産業で地方の中小・零細企業とあれば、誰もがその閉塞感を想像できるだろう。だが、もはや「お先真っ暗」と思われた企業でも、磨き上げて新たな光を放つことができる。その担い手は、社会人経験ゼロの大学生だ。ゆとり世代と批判を受ける彼ら彼女らだが、そのチカラが地方の零細企業に変革をもたらしている。

 岐阜県大垣市に本社を置く大橋量器は1950年の老舗で、一貫して枡を作り続けてきた。大垣市は枡で全国シェアの8割を誇る一大産地でありながら、市場規模は年々縮小しており、同市に残る枡メーカーはわずか5社だけ。鏡開きや節分の豆まきが需要のほとんどで、新たな市場をなかなか創れていない。

 この状況に危機感を覚え、変革に乗り出したのが大橋量器だ。同社4代目の大橋博行社長はIT(情報技術)企業に勤めていたが、家業を継ぐため1993年に戻ってきた。製品開発や意思決定のスピードが早い前職の経験を基に、社長自ら、新たな製品を作り出している。

 例えば、「Math Salt(マスソルト)」。入浴剤として使う「バスソルト」をヒノキの枡に入れて販売したものだ。利用者は枡ごと湯船に入れるだけで、従来のバスソルトとして使えるだけでなく、ヒノキの香りが浴室に広がるというアイデア商品だ。

 枡を作る際に出るカンナくずを使って作った加湿器「マスト」は、電源なしでも加湿ができる環境に優しい商品。木が水を吸い上げて空気中に水分を放出し、同時にヒノキの香りも楽しめる。洗練されたデザインの商品で、市場からの評価も高い。

インターンシップの学生が売り場を確保

 従来とは異なる市場で勝負をしかける大橋社長だが、商品開発や営業、広報などの業務を社長1人で担っていた。さすがに事業の広がりに限界がある。かといって、同社の社員は職人と事務員が合わせて10名ほどしかおらず、人的な余裕はない。右腕となる人材を求めていた。

 そこで活用したのが、大学生の長期インターンシップ(就業体験)の受け入れだ。

 大学生のインターンシップといえば、数週間の来客のようなイメージが強いが、大橋量器の場合は違う。地元の大学生を中心にインターンシップを受け入れ、新製品開発の提案や販路開拓に向けた営業などの実務を担ってもらっている。そして、成果もしっかりと出している。

 5年前、最初にやってきた大学生は、神社に対して自ら合格祈願の枡を企画し、売り込んだ。3カ月かけて近隣の神社を回ったものの、期限内には契約を取れなかった。だが、期限後に神社から結婚式やイベント向けに枡を作れないかという依頼が舞い込み、その後はほかの神社からの受注も成功するなど、新たな売り先を確保した。

 別の学生は、出店したかったができていなかった高速道路のサービスエリアの売り場を確保したという。地場産業の製品を置いて地元色を強めたいサービスエリアのニーズをつかみ、さらに、そこに陳列する商品開発まで任された。

 また、帰国子女の学生は英語版のウェブサイトの構築や海外向けのパンフレットを作成。海外市場への進出を考えており、その実現に向けての一歩を踏み出すチカラになっている。

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「社長の右腕は大学生」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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