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日本品質なら売れるという発想を捨てよ

「ものづくり」から「もの・ことづくり」へ変わろう(第1回)

2012年10月22日(月)

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 私は、日本のものづくり産業がこれから進む方向として、5年ほど前から「ことづくり」に向かうべきだと主張してきました。ことづくりとは、生み出したものによってでき上がる新たな生活や社会の様子まで、つくりあげていくことを指します。こうした新たなものづくりを、私は「もの・ことづくり」と呼んでいます。

 ことづくりの例として、スマートグリッドが挙げられます。電力がかかわる、あらゆる場面を最適にすることで、街全体の電力の消費を抑えようという試みです。そこでは、太陽光発電や風力発電、電力網、住宅や工場などの建物、電気自動車、家電など、それぞれのシステムの中を最適にするだけでなく、それぞれのシステム同士を連携させることで、はじめて実現できることです。このように、ものづくりにとどまらず、ものを使って今までにない社会システムまでつくりあげることが、ことづくりです。

 こうした主張を始めた当時から、日本のものづくり産業の関係者からの風当たりは、強いものがあります。

 技術者から経営者、学識経験者にいたるまで、「匠の技」といった究極の技術ばかり追求し、自分たちが考える範囲での「良いもの」を作るものづくりだけを追求するという、ただ一つの価値観に捕われていることに原因があります。「ものづくり至上主義派」とでも言うべき主張です。

 この価値観にだけ固執していると、日本のものづくり産業は、技術の集積度が高く、層が厚く、技術者の質が一定のレベルに達している利点がありながら、その利点を生かしきれないままになってしまうでしょう。

 日本のものづくり産業が、他の国に比べて弱くなってきているように見える原因の一つとして、電子や機械のシステム全体において、日本が強かった部品などの価値が従来に比べて減っていることがあります。従来はモジュールやシステムとして取り扱われてきたものが、どんどん部品化してきているからです。

 パソコンなど、それ自体が一つの部品のように取り扱われるようになり、社会システムの中で、どのように使われるのかを提案できるかどうかが、ものづくりの焦点になってきているのです。

 従来の世代のものづくりとは、かなり異なる姿です。1970年代の日本企業のものづくりは、主に米国の技術を基に、より良く改良した製品を作って輸出するというものでした。キャッチアップ型と呼ばれるものづくりです。

 日本のものづくりは、すでにキャッチアップ型のものづくりから脱却しています。それなのに、未だにキャッチアップ型のものづくりの発想から抜け出せない関係者が多いのです。自分たちが考える範囲での良いものづくりだけを追求する「ものづくり至上主義派」も、その一つです。

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「日本品質なら売れるという発想を捨てよ」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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