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重要なのは仕組みづくり

「ものづくり」から「もの・ことづくり」へ変わろう(第2回)

2012年10月29日(月)

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 第1回で説明したように、これまで日本が追求してきた価値観だけに固執したものづくりでは通用しなくなってきました。それはなぜか。その理由を探ってみましょう。

 まず、世界の経済状況です。これまでの主戦場だった先進国の市場だけに頼っていては、もはや市場の拡大が望めなくなりつつあります。どの分野でも、先進国の市場の伸びは限られ、新興国の市場の伸びにしか期待できません。

 消費の中心は、先進国から新興国の中流層に移っていることを象徴するのが、主要国首脳会議です。世界経済の課題の調整は、1998年までは主要7カ国の首脳会議(G7)で十分でした。 先進国に伸び代があり、市場規模が圧倒的に大きかったからです。しかし、先進国の勢いに徐々に陰りが見えはじめ、反対に新興国が急進してきました。そこで、1999年以降は、世界経済を考える上で無視できない存在になった新興国を取り込む形で主要国首脳会議は拡大し、20カ国を結集する場に拡張しています。

 こうしたマクロな動きは、当然、さまざまなものづくり産業の変化にもつながるのです。 つまり、新興国の普及品市場なしには、ものづくり企業が成長戦略を描けなくなっています。

G20時代のものづくりとは

 G7時代のものづくり産業と、G20時代のものづくり産業の違いは、圧倒的なボリュームの低価格品市場が切り開かれた点にあります。このために、今までのように常に日本を中心にした議論が通じなくなっています。技術だけでなく、製品、関連サービスまで、グローバル市場に展開できる仕組みを作り出す必要が出てきています。

 ここでは、いくつかの懸念を抱いています。まずは、サスティナビリティ(持続性)についてです。日本人からは反論を受けることが多いのですが、日本人の生活の仕組みを、そのままグローバルに展開することが良いことなのでしょうか。世界の人たちにとっては、迷惑なことかもしれません。世界のエネルギーや食料に関して、日本人が幸せだと信じる使い方を貫き通すことは難しいかもしれないと、想定しておくことが重要になってくるでしょう。

 次に、デジタル化にかかわる技術で、日本が遅れていることです。ソフトウエアなど多くのものは米国発のもので、日本で取り組まれているのは、その改良がほとんどです。デジタル化によって、情報などのコストが劇的に下がっている状況にあって、この根本を握る取り組みを始める必要があります。

 いずれも、「もの・ことづくり」を実現できる人材を育てないと、解決できない課題かもしれません。現在の日本では、学校などで教える人材もおらず、企業でこのような主張をする人材すら限られているのです。

 もの・ことづくりを実現するには、国や地域の違いを考慮しながら、誰が、どのように使うのかを、市場の視点に基づいて考え抜く必要があります。例えば、日本国内でも関東向けと関西向けでは、インスタント食品の味付けを変えたりしています。それなのに、なぜか海外向けは一律だったりするわけです。そうではなくて、気候や文化、宗教をはじめ、さまざまな違いを反映させる必要があります。経済水準の違いにも考慮しなければなりません。その上で、これまでにない使い方や、価値観まで提案できる発想を盛り込むのです。

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「重要なのは仕組みづくり」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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