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「カルビー ポテトチップス」のないコンビニ

PBは本当に“消費者の味方”か

2012年10月31日(水)

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 先日、重なる入校作業の合間に突然、油っこいものが食べたくなった。仕事が詰まってくると、なぜかいつも体が油を欲するようになる。そこで仕事帰りに近所のコンビニエンスストアを訪れた。目当ては「カルビー ポテトチップス」だ。

 普段の生活で、スナック菓子を食べることはほとんどない。けれどもその日は、とにかく、ポテトチップスが食べたかった。手に入るなら「うすしお」でも「コンソメ」でもいい。とにかく、子供の頃から食べ慣れた、あのカルビーのポテトチップスをお腹いっぱい食べたいと思っていた。

 普段から愛用しているコンビニである。どの売り場に何が並んでいるのかは、体が覚えている。足は自然に菓子売り場に向かい、そして、いつもの場所で足を留めた。

 しかし、である。どんなにじっくりと棚を見ても、目当ての「カルビー ポテトチップス」は見つからない。念のために、小さな店内をくまなく回った。あるわけないと思いながら、日用品の売り場やインスタント食品の売り場、飲料やアイスクリームが並ぶ冷蔵・冷凍ケースもチェックした。けれどもやっぱり「カルビー ポテトチップス」は見当たらない。

 たまりかねて店員に声を掛けると、「セブンプレミアムならありますが」と説明をされた。確かに、目の前には「セブンプレミアム 厚切りポテト石垣の塩味」「セブンプレミアム 厚切りポテト丸大豆醤油味」などが並んでいる。というか、気づいてみると、菓子売り場の棚は「セブンプレミアム」商品しか並んでいなかった。

 だが、私がこの時食べたかったのは、セブンプレミアムの、少し手の込んだ厚切りタイプのポテトチップスではなかった。あのカルビーの、食べ慣れたポテトチップスが食べたかったのだ。結局、手ぶらでセブンイレブンを後にして、駅を挟んだ反対側にあるファミリーマートへ向かった。(なお、セブンイレブン全店で「カルビー ポテトチップス」が消えたわけではない。少なくとも、私がよく行くセブンイレブンでは置かなくなった)

PBだけが並ぶ売り場

 最近、こうしたケースが随分と増えたように感じている。こうしたケース、というのは、目当ての商品を求めて食品スーパーやコンビニに足を運ぶが、欲しいと思っていた大手メーカーのNB商品がなく、その代わりに流通の自主企画であるPB(プライベートブランド)商品を手に取ること、である。

 イオングループの展開する小型食品スーパー「まいばすけっと」でも、狭い店内に並ぶのはトップバリュの文字ばかり。NB商品は極めて少なくなっている。もちろん、さほど意識をせずに、値段だけを見て安いPB商品を手に取ることも多い。だが時には、「ないなら仕方なく」妥協案としてPBを手に取ることも増えている。

 こんな経験を何度か繰り返して、「果たしてPB商品は本当に、消費者の味方なのだろうか」と思うようになった。

 歴史を振り返ると、PB商品は景気が悪くなるたびに脚光を浴びてきた。例えば、1990年代前半には、ダイエーのPB「セービング」が一世を風靡した。価格破壊商品といったうたい文句が受け、消費者の厚い支持を集めた。

 最近であれば、2008年だろう。リーマンショック後、景気が急速に冷え込む一方、原料の高騰が続き、NB商品は相次いで値上げや、容量減(実質値上げ)がなされていった。消費者の生活防衛意識が高まるなかで、強い味方とされたのが、イオングループのPB「トップバリュ」や、セブン&アイ・ホールディングスのPB「セブンプレミアム」である。日経トレンディが発表した2008年のヒット商品ランキングでも「PB商品」は1位となっている。

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「「カルビー ポテトチップス」のないコンビニ」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネスクロスメディア編集長

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授