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ジョブズもアップルの汚いオフィス、ルーズな社風一掃から着手した

クリエイター企業を組織的に動かす(2)

2012年11月8日(木)

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 スティーブ・ジョブズがアップルに戻ってきて、まず対処したことはダレた社風を一新することだった。彼が復活する前の社内は遅刻が常態化し、ペットを持ち込み犬と遊んでいる社員までいたという。彼は、選択と集中のためにプロジェクト数を絞ると同時に、社風も一新する。ペットの持ち込みを禁止、喫煙も禁止、福利厚生制度も見直してサバティカル制度も廃止したようだ。

出版社や映像制作会社など・・・汚いオフィスで業務効率が上がるわけない

 クリエイター企業は時間もルーズで私語OK、社内の整理整頓などはできていなくて当たり前の雰囲気がある。出版社や映像制作会社等々、確かに自由な発想を重んじ、個々人が各々のパーティション内に籠もり、書類やらガジェットが積み上がった机で仕事をする姿をイメージする方も多いだろう。しかし、これは全くもってナンセンスな話であり、冷静に考えれば、これで業務効率が上がるわけがないことは明白である。

 ある大手ベンチャー企業が老舗の出版事業を買収した際に、徹底して時間管理と机の片付けを命じたという話を聞いたことがある。その際「メディアビジネスは夜型であり、朝会社に来ても仕事がない」とか、「整然とした職場環境ではアイデアが沸いてこない」など不平が散々でて、離職した社員も少なからずいたようだ。

 松井博氏は自著『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる(アスキー新書)』で「割れ窓理論」を引き合いに、オフィスの整理整頓をすることで仕事の効率アップにつながった実績を語っていた。

 私はこれを読んだ時、まさしく我が意を得たりと感じた。実際、「割れ窓理論」の通り、汚い作業環境では「これでいいや」と仕事の完成度に甘さがあっても許容してしまう空気があるし、果ては不正なども発生するかもしれない。この負の価値観の連鎖が「割れ窓理論」であるが、ニューヨーク市がこの理論に基づいて軽犯罪取り締まりを強化し凶悪犯罪を予防したように、不正の抑制とまでは行かなくても、作業環境が整然としており綺麗な状態であれば人間心理の常として、やはりいい加減な仕事ぶりは減っていくと思われる。

 実は、ある会社の管理部門のマネジメントをまかされて、その部門に乗り込んだ際、非常に驚いたことがある。経理の伝票等の帳票類が床や棚の上に散乱し、契約書は各部署の書棚や不明書類と混じって社内中にバラバラに放置されていたのだ。管理部門がこのような状態だから、必要な資料を求めても、いつまでたっても出てこない。

 一方、責任者に尋ねると「時間がなくて整理できない」と言う。もうおわかりの通り、片付けない→非効率→片付けない→…の負の連鎖で効率が極端に落ちていたのである。このような管理部門であるから当然、数値管理も甘く現金残高は毎月あわない。決算ごとに会計上の勘定を現金残高にあわせる始末であった。

 この時の責任者はかつて上場企業の管理部門経験者だったのだが「割れ窓理論」の通り忙しさにかまけて、管理部門でありながらだらしない状況を看過し、この負の連鎖の結果として、経理としてあってはならないお金の管理状態を許してしまったのだ。

 荒れた中学校を立て直した原田隆史氏の著作『カリスマ体育教師の常勝教育』にも同様のことが書いてあった。ゴミが散乱し荒れた環境や、靴のかかとを踏んで歩くだらしない態度を容認しては生徒の心がすさみ、やる気がそがれる。高い目標を達成するには、心のすさみを取り除く必要があり、環境整備の指導に力をいれていたという。

 そこで、企業においても、まずは書類の整理や社内の整理整頓などに着手すべきであろう。

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