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社外取締役の役割は不正を暴くことではない

コーポレートガバナンスとは何か?

  • 名取 勝也

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2012年11月7日(水)

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 企業法務を担当している人だけでなく、経済界やさらには社会全体において、日本人はコーポレートガバナンス(企業統治)という言葉をよく使うように感じる。好んで使っているのかどうかまではわからないが。

 昨年後半から今年にかけてその傾向は一層強まった。そのきっかけとしては、オリンパスにおける過去の損失隠しや大王製紙創業家出身の前会長による子会社資金の私的流用事件があげられる。要するに、企業の不祥事を発見・是正できないのは、コーポレートガバナンスが機能していないせい、だからその強化が必要だということになる。そして、常に言われることは「日本の企業に社外取締役が少なすぎるのが、コーポレートガバナンスが弱い原因となっている」というものだ。

 おりしも法務省が会社法制の見直しに関する中間試案を2011年12月に、要綱案を2012年8月にそれぞれ公表し、その主要な部分が「企業統治のあり方」に関することであったこともあって、企業や経済界は社外取締役設置の義務付けの有無を中心にコーポレートガバナンスの問題に少なからぬ関心を寄せた。

 ただし、この見直しは、法務省の諮問機関である法制審議会会社法制部会により2010年4月から始められたものであり、昨年起きた上記不祥事によって急に始まったことではない。当初は今秋の臨時国会に法案が提出されて可決される可能性があると考えられていたが、現在の政府も国会もそれどころではなく政局に集中専心している様子であるため、年内での可決があるのか見えにくくなってきてしまっている。

 上記の事件が表面化した直後には民主党をはじめ、ほとんどの政党からコーポレートガバナンスの改善・強化についてさまざまな主張や提案がなされたのだが、現在は自らの党のガバナンスや選挙のことでそれどころではなくなってしまったのかもしれない。

 日本の活性化という観点からすると、政治家の誰に人気があって、次の総選挙にどの党が勝利しそうか、ということよりは、日本の企業の競争力を回復向上させる政策の一環としてコーポレートガバナンスをいかに見直すべきか、ということの方がずっと意味があるし興味深いと思うのだが。

社外取締役を増やせば不祥事は防げるのか

 いずれにしても、昨今の日本においてはコーポレートガバナンスについて、主として企業不祥事を防止するための仕組みととらえられ、社外取締役の増員や義務付けが解決策であるかのように議論されているように思われる。確かに、社外取締役の人数が比較的少ないアジア諸国における企業と比較しても、日本における上場企業は最も少ない部類に属している。しかしながら、この傾向が上記のオリンパスや大王製紙のような企業不祥事を産み出す原因なのであろうか。言い換えれば、社外取締役を増員したり義務付ければ、そのような不祥事は防げるのであろうか。

 答えは、おそらくノーだろう。そもそも、企業不祥事の発見や是正を、コーポレートガバナンスの問題ととらえることに私は疑問を感じる。それは単に経営者のインテグリティ(廉潔性)やコンプライアンスの問題にすぎないのではないだろうか。 あえて加えるものがあるとしたら、内部統制の問題ではあるかもしれない。まさしく、経営体や企業「内部」の問題であり、「社外」取締役の要否といった問題ではないのではないか。

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