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マツダを救った“フォードの遺産”

「尖閣ショック」を補い、5年ぶりの黒字転換へ前進

  • 伊藤 正倫

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2012年11月8日(木)

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 今年度のV字回復を目論んでいたホンダが2012年度の業績予想を下方修正し、波乱のスタートとなった4~9月期の自動車各社の決算。この原稿が出る頃には、主要各社の決算はほぼ出揃っているが、業績の足を引っ張るのはやはり中国での日本車需要の急減。需要減は長期化の様相も呈する。

 そんな中、決算内容で健闘したのがマツダだ。今年度の連結営業利益計画こそ250億円と従来値から50億円下方修正したが、純利益は100億円で据え置いた。マツダは昨年度まで4期連続で最終赤字を計上し、3月には総額1440億円の大型増資に踏み切った。株主に対し、増資による株主価値の希薄化という痛みを強いた直後だけに、特に純利益計画は必達だったと言える。それだけに決算発表翌日の株価は急騰し、1日で10%強も上昇した。

 だが、マツダも中国での需要減とは無関係ではいられない。世界販売台数に占める中国の比率は、昨年度で2割弱に達する。実際、営業利益段階では中国の需要減が100億円程度の減益要因となりそう。それでも純利益は従来計画を据え置きと、“傷”が比較的小さく済みそうなのは、リーマンショックをきっかけに資本提携を実質解消したかつての盟友、米フォード・モーターに負うところが大きいのだ。

フォード車の“反日特需”が下支え

 マツダは現在、中国で2つの生産・販売チャネルを持つ。1つは現地の自動車メーカー、第一汽車集団に生産委託する主力セダン「マツダ6(日本名アテンザ)」などを、同社との合弁販社で販売するルート。もう1つが長安汽車集団、フォードとの合弁事業だ。

 この3社による生産会社「長安フォードマツダ汽車」には長安が50%、フォードが35%、マツダが15%出資している。主に南京工場で「マツダ2(日本名デミオ)」などのマツダ車を、重慶工場でフォード車をそれぞれ生産。販売網もこの3社で構築している。

 長年にわたったフォードとの蜜月関係の「遺産」である長安フォードマツダ。ここに、ほかの日系自動車メーカーとの大きな違いがある。

 中国では外資規制によって、海外メーカーは合弁会社に最大5割までしか出資できない。中国事業の果実を業績に最大限取り込むため、出資比率を上限ぎりぎりの50%とするところが多いが、マツダは15%しかない。決算上、この合弁会社の損益は営業利益には反映されず、純利益に効いてくる。

 反日感情の高まりを受け、マツダ車の中国生産は大幅減産を余儀なくされているもようだが、減産などに伴って合弁会社の損益が悪化しても、マツダはその15%に相当する額を営業外損益に計上するだけで済むのだ。

 さらに大きいのが、この合弁会社でフォード車も生産していること。

 フォードから資本面で自立して以降、山内孝社長はフォードとの関係について最低限のことしか言及してこなかった。だが、10月31日の決算発表では、「(中国では)フォードは3割以上も伸ばしているようだ」と、珍しく自分からフォードについて語った。

 このコメントは、中国で日本車が忌避されるようになり、欧米自動車メーカーが漁夫の利を得て販売を伸ばしていることを示すが、それだけではない。フォード車の販売増が中国合弁会社の損益を下支えし、マツダが合弁会社から被る損失はさらに小さくなる。

 資本提携を解消したマツダとフォードは今、この3社合弁を解消し、長安・フォード、長安・マツダの2つに分割再編する方向だ。山内社長も「分割計画は数年前から進めており、変更はない」と話す。せっかくの特需が帳消しになりかねないフォードにとって、一刻も早く分割したいのが本音だろう。だが、当局の承認手続きは完全に終わっておらず、分割にはしばらく時間がかかりそう。マツダにとっては、中国事業立て直しの猶予期間となる。

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