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日本が報じない英国金融「3つの発言」

米国・ユーロ圏以外にも目を向けてみよう

2012年11月9日(金)

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 オバマ米大統領が再選され、上下院の勢力図も決まった。今後の金融市場は、年末までに米議会が「財政の崖」にどう対応するか、やきもきする地合いが続きそうだ。企業経営者の心理は当面凍りついたままだろう。米国内では住宅市況の改善でやや明るさも見えてきたものの、「給与税減税期限切れ」という来年の増税効果は、ブッシュ減税期限切れや歳出自動削減プログラム発動に比べて、過小評価されている感もある。来年初に妥協策で何とか「崖」をクリアしたとしても、2%に満たない成長率が継続する可能性は高い。

 株価に関しては、一般的に民主党政権は共和党政権よりもウォール街に厳しい、と見られていることから悲観する向きもあるが、実際には1900年以降、民主党政権の下での平均株価上昇率は7.1%で共和党の3.0%を大きくリードしている。オバマ第一期政権のダウ上昇率も歴代5位の成績であった。

 もっとも、2009年以降はどん底からはいあがっただけ、という印象が強い。低成長を続ける「脆弱な経済チーム」という定着したイメージを、二期目に払拭するのは難しいだろう。ユーロ圏や中国の経済にもあまり期待できる要素がない。

「4羽のグレイ・スワン」と薄くなる英国の存在感

 二期目の大統領にとって今後の4年間の舵取りは、財政・金融・通貨の三大経済対策を単純注入してきたリーマン・ショック以降の4年間と比べ、より厳しいかもしれない。新興国を含め、世界経済全体の見通しは決して明るくない。

 米国・ユーロ圏・中国に中東を加えた4つの不安定要素は、いま「4羽のグレイ・スワン」とも呼ばれている。白鳥でも黒鳥でもない見たことの無い未知の鳥、といったところだろうか。日本も、「海外経済が回復すれば」といった能天気なシナリオを立てている場合ではない。

 そんな世界経済の展望の中で、日本同様に存在感が薄くなった国がある。英国である。英国と言えば、今年は女王陛下即位60周年記念やロンドン・オリンピックの開催の話題で盛り上がったが、経済という意味ではユーロ圏同様に低迷色が強い。五輪効果で第2四半期GDPは前期比1.0%となったが、実力ベースではゼロ成長に限りなく近い、との見方が強い。

 英国は、キャメロン首相の就任以来一貫して財政緊縮策を採っており、景気刺激策といえば英中銀による量的緩和策しかない。そんな政策的閉塞感の強い状況は、日本とよく似ているように思える。為替レートを自国に都合よく動かすという通貨戦略を持てないでいるところや、高齢化社会の進行も同じである。ちなみに同国の人口は、2025年以降に減少に転じると言われている。

 他にも英国と日本には、周辺国との関係がうまくいかない、という共通点がある。日本が領土問題で中国と韓国と対立しているように、英国も金融行政やユーロ圏支援などの問題で、ドイツなどEU大陸国と衝突を繰り返しているのだ。欧州市場では、いまやギリシャのユーロ離脱(Grexit)よりも英国のEU離脱(Brexit)の方が早いかもしれない、といった声すら聞こえている。

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「日本が報じない英国金融「3つの発言」」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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