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小泉構造改革3つの誤解

日本経済の運命を左右する「世紀の誤解」

2012年11月28日(水)

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 最初に私の問題意識を確認しておこう。私は、日本経済の先行きに大きな懸念を抱いているのだが、そう思う理由の1つは、経済学の常識が必ずしも通用していないことだ。こういう言い方をすると「違う経済学もある」と言われるかもしれないが、以下、「経済学の常識」と言っているのは、「私が考える経済学の常識」という意味である。

 一例をあげると、財政赤字の解決のためには、消費税を引き上げ、社会保障費の削減を図るしかない。これは私の考えというよりは、「オーソドックスな経済学の考えから導かれる、ごく常識的な対応」だと思われる。恐らく大部分の経済学者はこの基本方向に大筋としては賛成するだろう。

 問題はここからである。私はこのコラムの前に「ワンクラス上の日本経済論」という連載を持っており、この中で上記のような常識的な対応方向を示してきたのだが、私が非常に驚いたのは、日経ビジネスオンライン記事の後に掲載される読者からのコメントが、圧倒的に反対論が多かったことだ。

 例えば、「消費税の引き上げは当然だ」という内容のコラムを書いた時は、118件ものコメントが寄せられたのだが、そのほとんどは「消費税引き上げ反対」(しかもかなり激越な反対論)だった(2010年6月7日「なぜ消費税でなければならないのか」。関心のある方はコメントの現物を見てください)。

 こうした経験から、私は「経済学から導かれる当然の政策対応」と考えられるものが、一般には必ずしもそう思われていないという深刻な事実を思い知らされたのだった。前回まで考えてきた日本型雇用慣行の問題は、こうした問題意識で書かれたものである。私は、ごく常識的に考えて、日本型雇用慣行は改めるべきだと考えているのだが、世の中の人々の多くは必ずしもそうは考えていないからだ。

 同じような問題意識で、今回は小泉型構造改革について考えてみたい。その結論は、今こそ第2次小泉構造改革が求められているのに、国民の多くはこれに反対している。これは、多くの人々が小泉構造改革について誤解しているからだ、というものだ。その誤解は、次の3つに大別される。

構造改革と格差

 第1の誤解は、「小泉構造改革によって日本は格差社会になった」という考えである。私は、この部分の原稿を松山市内のホテルで書いている。松山に講演で呼ばれて、前日到着し、午前中の時間が空いているので、この時間を利用してホテルの部屋で原稿を書いているわけだ。この稿を書くに当たり、「何かうまい実例はないか」と思っていたのだが、今朝の食事の際に、愛媛新聞が置いてあったので、これを見ていたら「どんぴしゃり」の例が出てきた。よくあることだが、「探している情報は向こうから飛び込んでくる」という典型例だ。それは「奨学金の利子が人生の重荷になっている」という記事なのだが、この問題についての有識者のコメントの出だしが「小泉内閣の構造改革などで国民の貧富の差が拡大する中、…」となっていた。

 このコメントに象徴されるように、「小泉構造改で貧富の差が拡大した(または格差社会になった)」というフレーズは、今では「枕詞」になっている。つまり、こういうことだ。

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「小泉構造改革3つの誤解」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授