• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

衆院選とともに消える「国会の約束」

国会事故調を無視したまま衆院選に突入する悲しさ

2012年12月11日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 12月16日の衆院選が迫ってきた。慌ただしく解散し、次々と新党が立ち上がり、政策議論が尽くされないままに投開票日を迎えるという印象が拭えない。

 「決められない政治」と揶揄され、重要法案の議論も進まず、すっかり評判を落とした民主党政権。しかし、1年ほど前には“かつてない取り組み”として各紙が報じた出来事があった。「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」、通称・国会事故調である。

 国会の委員会といえば、国会議員で構成するのがならわしだった。一方、国会事故調は、民間の専門家で構成し独立性と中立性を重視する、憲政史上初の委員会だ。国会議員は国会事故調の委員の人選をしたあとは、調査内容には干渉しない。しかも、調査に際しては国会並みの権限を持つ。国会事故調の設置を定めた法案は2011年9月30日、国会が全会一致で可決、成立した。

 原発事故の調査委員会には国会事故調以外にも、政府事故調査委員会、民間事故調査委員会、東電が自社で設置した調査委員会の合計4つがある。国会事故調に先立って事故原因を検証した政府事故調に参考人招致などの権限がなかったのに対して、国会事故調は東電の勝俣恒久元会長など東電の幹部や菅直人元首相を参考人として招致した。

 2011年12月8日に国会事故調は発足し、合計10人の委員で構成した。さらに、事務局を支えたメンバーの中には、国会事故調の設立を意気に感じて経済界でのキャリアを捨てて参画した人も多い。

 委員長を務めた黒川清氏は医師であり日本学術会議の元会長でもある。東電の勝俣元会長の参考人招致の際には、黒川委員長自ら勝俣会長へ厳しい質問を投げかけ、次々と言質を取っていった。その迫力には圧倒された。

2012年5月14日の国会事故調には東電の勝俣恒久・元会長が参考人招致された。左が黒川清委員長(写真:木村 輝)

 国会事故調は1100人以上、900時間におよぶヒアリングを重ね、2012年7月5日に7つの提言を盛り込んだ報告書を発表した。その内容は国内外の衝撃を与えるものだった。

 事故原因を人災と断定し、電力業界を監督すべき規制当局が「事業者の虜になった」とした。政府・官邸の緊急事態への対応力にも問題があったと指摘した。そのうえで、国会内に規制当局を監視する独立委員会を設けるべきだと提言した。

 東電をはじめ電力業界と規制当局の関係を、公の場で明確に指摘した報告書は、画期的なものだっただろう。だが、今なおこの報告書は無視され続けている。

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「衆院選とともに消える「国会の約束」」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

テスラのような会社と一緒にできないのなら、パナソニックはイノベーションを起こせないだろう。

津賀 一宏 パナソニック社長