• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「アベノミクス」か「アベリスク」か

2013年の市場視線は長期金利へ

2013年1月7日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 もうそろそろ記憶が薄れた頃かもしれないが、2012年は台湾総統選挙に始まってロシア、フランス、米国の大統領選挙が行われた年である。そして年末には日本と韓国でも新しい「国の顔」を選択する熱い選挙戦が繰り広げられた。その中で、最も金融市場に刺激を与えたのは安倍晋三首相の再登板を選択した日本の総選挙であった、と言って良い。世界の市場は、久々に日本の政治経済の変化に注目している。

 安倍首相の「大胆な金融政策」への転換宣言は、既に投票前から為替レートや株価を揺り動かしてきた。無党派層の棄権と小選挙区制度の相乗効果で圧勝した後も「材料出尽くし」とはならず、「インフレ・ターゲット」や「公共投資拡大」といった勇ましい、そしてややアナクロの匂いすら漂う政策を、日本の市場も「アベノミクス」と囃しながら期待感で湧いている。

 20年もの長い閉塞感を打ち破る政策として、いまだにバブル時代への郷愁を引きずる日本の金融業界が安倍政権に期待するのも無理はない。市場ビジネスにとって動かない相場ほど耐えられないものはないからだ。だが、単に動けば良いというものでもない。

 為替市場に関する評論においてよく「悪い円安」といった言葉が使われるが、金融市場には儲けのタネにはなっても、実体経済にとっては逆風になることは往々にしてある。筆者が一番恐れているのは、既に多くの識者が指摘しているような「悪い金利上昇」である。財政リスクの観点から喧伝される「国債暴落」といった話ではない。現在0.7%程度まで下がった10年債利回りが2.0%程度まで上昇する、もっと現実的な可能性のことである。

安倍新政権が思い出させる「あるケース」

 財務省は、利払い費のシミュレーションにおいて長期金利が2%へと上昇するシナリオを既に織り込んでいるので、2%という水準を「想定外」と呼ぶことはもはや適切ではないだろう。だが問題は、仮に長期金利が2%へと向かい始めた場合、その過程で日本経済に何が起こるのかを新政権がきちんとシミュレーションしているかどうか、である。

 外交・安全保障においては、恐らくおびただしいほどのリスク・シナリオが検討され、「何がより悪くない選択なのか」という情報が官邸には蓄積されているはずだ。だが金融市場に関するマネジメントに関しては少なからぬ疑問と不安を抱く。特に安倍首相のこれまでの発言を聞いていると、どうも金融上のリスク管理は徹底していないように見受けられる。

 新政権の姿勢は、例えは適切で無いかもしれないが、長らく事業低迷に悩んできた企業が、無責任な外部アドバイザーの助言を鵜呑みにして一発逆転を狙い、過激なリスクテイクに全社の運命を賭けて瀕死の状態に陥った、あるケースを思い出させる。それは米国のシティグループだ。巨大化したにもかかわらず成長路線をうまく描けなかった同行が、前財務長官のルービン氏の助言を受け入れてサブプライムローン投資にのめり込み、その後巨大損失を計上して準国有化の憂き目にあったことはまだ記憶に新しい。

コメント11

「倉都康行の世界金融時評」のバックナンバー

一覧

「「アベノミクス」か「アベリスク」か」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員