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基本中の基本から公共投資を考える

私はなぜ公共投資主導型の経済政策に反対するのか(上)~政権復帰の経済学(2)

2013年1月16日(水)

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 自民党の政権復帰が実現し、新しい経済政策が行われようとする中で、私が気になるのは、公共投資を増やすことによって景気を良くしようという政策が取られ始めたことだ。私は、公共投資を増やすことによって景気を良くしようとしたり、経済成長率を高めたりするという経済政策には反対である。この問題について、今回は基本中の基本から考えてみたい。

新政権の公共投資への積極姿勢

 自民・公明党新政権は、公共投資に積極的である。民主党政権は「コンクリートから人へ」というスローガンで公共投資を目の敵にしていたように見えるが、今度は全く逆になった。

 自民・公明両党は、選挙期間中から公共投資に積極的だった。自民党は選挙公約の中で「国土強靭化」を推進することを掲げている。具体的には「今後10年間で、避難路・津波避難施設や救援体制の整備等の減災対策を強力に推進する」とし、さらに「加えて、首都機能等の維持・強化及び分散を図るとともに、…多軸型国土の形成と物流ネットワークの複線化を図り…今後急速に老朽化する道路設備、港湾…等を計画的に更新し…」と続く。

 なお、国土強靭化に関しては、しばしば「10年間で200兆円」といった数字が飛び交っているが、私が探した範囲では、関係者がそれらしき発言をしてはいるが、公式の文書で200兆円という数字を確認することはできなかった。

 公明党も選挙公約の中で、「新たな需要創出策として、災害に強い国づくりやわが国全体の防災力向上を目指す『防災・減災ニューディール』を推進します」としており、こちらは「10年間で100兆円規模の事業を想定しています」と明言している。

 さてここまでの段階でいくつか注意すべきことを言っておきたい。

 第1は、国土強靭化の対象範囲が結構広いということだ。強靭化の基本は災害に強い国土づくりである。災害はだれにとっても恐ろしいものだし、国民の安全を守るのは政府の最も大切な義務だから、「防災・減災のための公共事業です」と言われると「やらなくてもいい」とは言いにくい。

 しかし、よく読んでみると、公約の中には、首都機能の分散やネットワークの複線化なども入っているから、広く解釈すれば道路網を含めたかなり広範な公共事業が対象になり得る。もしかしたら、全ての公共事業が強靭化法の対象になってもおかしくないほどだ。要するに、国土の安全という錦の御旗の下で公共事業を広く推進しようとしているように私には思える。

 第2は、100兆円とか200兆円とか言われても、それだけでは多いとも少ないとも評価のしようがないことだ。

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「基本中の基本から公共投資を考える」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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