
「そうか。イカの話だからトリイカなんですね!」
と勘違いしている人が、全国にまだ138人くらいはいそうだ。
そもそも担当編集者までそう思っていたふしがある。
打ち合わせのメールにこう書いてあったからだ。
「タイトルロゴの書体を見てやっとわかりました!」
だが、今回の言及対象は、またまた本欄が大河イカコラムであるという誤解を助長するかもしれない。
前回、ツイッターをやっていて、TL=タイムラインがイカで埋め尽くされた話を書いた。この「TLは○○だらけ」という書き方は、私自身も含め、ついうっかりつぶやきがちな常套句だが、そもそも自分のTLは、自分がフォローした人物によって構成されているので、人それぞれ、千差万別である。ユーザの数だけのTLがある。自分の見ているTLと他人の見ているTLは、あたりまえだが違うのだ。
たとえば……私はフォローの総数の少ない人からは「とり・みきのつぶやきが多くてTLが緑の風呂敷だらけ」などとよくいわれるのだが、マンガ家を多くフォローしている人ならば、私のツイート数がマンガ家の中ではむしろ少ないほうであることをおわかりいただけていると思う。
たとえば……今回の選挙前の自分のTLを眺めていると、とても自民圧勝などという事態は考えられなかったが、過去の傾向をよく考えれば、実はそう見えた時点で既に自民圧勝は間違いなかった、ともいえる。
たとえば……もうよろしい。本題に入ろう。
年始の松も開け、皆がドンド焼きにいそしみ(そんなにいそしまないか)、しょうがない、今年も仕事するか……というあきらめの気持ちが世の中に蔓延し始めた頃に、毎年私のTLに跋扈するのが「駅弁」の二文字だ。
イカのときは「日本のトレンド」欄にも上がっていたから、たぶん自分のTLだけの話ではない。しかし駅弁の普遍性には自信がない。そもそも地域限定の話であるし。
この時期、新宿の私鉄系有名デパートにおいて、通称「駅弁大会」と呼ばれる催し物が開催される。全国各地の有名駅弁が、空輸、もしくは会場で実演調理販売されるのだ。既に今年で48回目を数え、このデパートの……というより、東京のデパートの数ある物産展の中でも屈指の人気イベントになっている。近年は毎年TVのワイドショーでも取りあげられているので、興味はともかく、ご存じの方は多いと思う。
もともと、デパートの7階8階といった催事場で行われているイベントには、高年齢層のファンがついている。催し物がなんであれ、とりあえず行く、といった人たちだ。既に仕事は半リタイアし、時間と金と興味は持っている……業界でいうところのF3、M3層だ。
駅弁大会も、とくに平日は、客の9割以上がそういう人たちである。あからさまにいえばじいちゃんばあちゃんばっかりだ。まあ、あたりまえの話で、20~50代のおおかたの人は、開催時間にはふつう働いている。というか、平日のデパートで若くして午前中からウロチョロしてる奴がいたら、そいつは誰の目にもあまりまっとうな人物とは見なされない。
だが、ここにフリーランスのライターやマンガ家という、そもそもあまりまっとうでない職種の人達がいる。彼らは平日であってもこういう催し物に出かけていくことが可能だ。けっして裕福ではないが、若い学生たちと比べれば、自分の裁量で使える金は、ある。
まだ活況を呈していたころのmixiに「京王駅弁大会」というコミュが出来たのは2005年のことだった。
あー青土社の・・・!!(2013/01/18)