• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日本が世界を率いる「水素社会」

3・11がその到来を後押しする理由

2013年1月24日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本のエネルギーの未来は、ともすると真っ暗なように思える。原子力発電所の停止による火力発電用燃料の輸入増は、2012年度だけで3兆円に達すると言われ、貿易収支に打撃を与える。新興国などとの資源獲得競争は熾烈を極め、燃料調達は簡単ではない。

 だが、暗いシナリオがすべてではない。日経ビジネス1月21日号の特集「エネルギー国富論」では、エネルギーを取り巻く環境が熾烈さを増していくからこそ、日本企業が培ってきた超省エネ技術が勝機を生むとお伝えした。

 実は燃料調達の分野でも、新しい動きが水面下で進んでいる。3・11の前は“絵空事”にすら聞こえた取り組みが、じわりと現実味を帯びてきたのだ。

「液化水素」という未知の燃料

 「液化天然ガス(LNG)以外の選択肢が日本には必要です」。川崎重工業新事業企画部の横山稔副部長は言う。新しい選択肢とは「液化水素」だ。川崎重工は豪州で産出する低品位石炭「褐炭」から液化水素を作り、タンカーで日本へ運ぶプロジェクトを進めている。

 豪州には膨大な量の褐炭が存在する。水分の含有量が多く、掘り出して積み上げておくと自然発火してしまうため、輸出には向かない。日本が石炭火力発電所や製鉄所で使用しているのは、「瀝青炭」と呼ぶ高品位な石炭だ。

 豪州にはラトロフバレーという褐炭の産地がある。褐炭の産地としては世界最大規模で、ここに眠る石炭のエネルギー量は日本の一次エネルギーの40年分に相当するという膨大さだ。現在は、採掘地に隣接する石炭火力発電所で燃料として使っている。発火を防ぐために、採掘してから18時間以内にコンベヤーで発電所に運び込んで燃やしている。

 褐炭を発電に使うと、水分を多く含んだ石炭を燃やすために、発電効率がすこぶる悪くなるのが問題だ。ラトロフバレーの場合、約28%にとどまる。日本の石炭火力発電所の平均が40%を超えていることを勘案すれば、その低さがわかるだろう。もちろん、CO2(二酸化炭素)排出量も非常に多い。

 豪州は1人当たりのCO2排出量が世界最大の国だ。豪州政府には、CO2排出量を減らしたいという思いがある。そこで、液化水素を志向する川崎重工と思惑が一致。褐炭から液化水素を生成し、日本へ運ぶプロジェクトが動き出した。

 同社はラトロフバレーで褐炭をガス化する。その行程で発生する水素とCO2のうち、CO2は「CCS(CO2の回収・貯留)」で海底の空洞へ押し込む。この空洞は、かつて天然ガスを採掘し枯渇した跡地だ。既に豪州政府は2012年2月に約80億円を投じて、CCSの検証も開始している。世界各国で検討が進むCCSだが、ラトロフバレー近海は数ある候補地の中でも最も実用化しやすい適地といわれている。

 一方の水素は、超低温に冷やして液化し、タンカーで日本へ運ぶ。扱い方はLNGとほぼ同じ。天然ガスをセ氏-162℃で冷やして液化するのに対して、水素はさらに低い-253℃で液化する。いったん液化してしまえば、1日にタンクから漏れて減る量はわずか0.09%。タンクに入れて長期保管することも、タンカーで輸送することも難しくない。

コメント0

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「日本が世界を率いる「水素社会」」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

富士山を目標にする人はいつか富士山には登れるでしょうが、エベレストには登れない。

澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長