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公共投資の経済効果を考える

私はなぜ公共投資主導型の経済政策に反対するのか(中)~政権復帰の経済学3

2013年1月30日(水)

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 私が公共投資主導型の経済政策に反対する理由には、短期的な側面と長期的な側面がある。短期的な反対理由は、公共投資が経済を成長させる効果はそれほど大きくなく、むしろ財政赤字を増やすという副作用が心配というものだ。今回述べるのは、この短期的な側面である。長期的な側面の問題は次回述べることにする。

短期的に見た公共投資の問題点

 まず、短期的な視点からの反対理由の概要を述べておこう。前回も述べたように、公共投資は経済にとって必要である。これを否定する人はいない。しかし、それには、公共投資によって整備される社会資本がもたらす便益が十分大きいという前提が必要だ。

 一方、公共投資で景気を良くしようという発想は、「公共投資を実行すればお金が落ちる」という効果(需要効果)を期待したものである。この場合は、極端に言うと「どんな公共投資でもいい」ということになる。景気対策で「5兆円公共投資を増やそう」という掛け声がかかると、必ずしも社会資本としての便益が十分大きいとは言えないような分野にも金がばらまかれる恐れがある。これが第1の懸念だ。

 また、それは本来一時的なものである。公共投資の景気刺激効果は、公共投資を実行している時にだけ現われるものだからだ。公共事業が完成してしまうと、その時点で景気刺激効果は止まり、その後は公共投資が減った分だけ経済にマイナスの圧力が出る。しばしば公共投資による景気刺激は「カンフル剤」のようなものだと言われる。公共投資で成長し続けるには、カンフル剤を打ち続けなければならないのだ。

 それでも、リーマンショック後のように、極端に経済が落ち込んだような時はカンフル剤が必要だという議論も分からないではない。しかし明らかに、現時点はリーマンショック後のように大きく経済が停滞しているわけではない。不必要なカンフル剤を打つことになるのではないか。これが第2の懸念だ。

 一方、財政赤字は確実に拡大する。時々、公共投資で景気を刺激すれば、税収が増えるのだから赤字は増えないという議論も出るが、それが正しいとすると、「歳出を増やせば増やすほど政府の歳入が増える」という夢のような世界が実現することになる。そんなうまい話はない。考えてみれば当然のことだ。政府が1兆円の公共投資業を行い、その1兆円が建設業者に渡ったとしよう。この1兆円の支払いが回り回って建設業関連分野の企業収益や従業員の所得となり、全体で1兆円の所得(付加価値)が形成されるわけだが、これら増加した所得から1兆円以上税金が支払われることはあり得ない。

 ただでさえ深刻な日本の財政がさらに深刻な状態になり、破綻に至る日を早めることになる。これが第3の懸念だ。

 要するに、経済の状況、財政の現状を踏まえれば、公共投資で無理に経済を刺激するような状況ではないということである。

 さらに私は、その公共投資の成長促進効果そのものにかなり疑問を持っている。以下、詳しく説明しよう。

コメント3件コメント/レビュー

1ページ目の「政府が1兆円の公共投資業を行い(中略)これら増加した所得から1兆円以上税金が支払われることはあり得ない。」は事実だ。しかし、この1兆円がゼロだったなら、税収はゼロか?と問えば違う。よって、税の増収は間違いない。理論の飛躍が酷い。●GDP三面等価の法則を考えれば、外部要因(政府とは限らないが)が無ければ成長ゼロどころかマイナスが当然だ。GDPの計算式を考えれば、誰かがどこかで無から有を生み出すしかないのだが、多くは海産物のような統計の便宜上ゼロ円で入手できる物質か、財ではなく知能を利用したもの(一例はゲームソフト)を有価物に変えることが必要なはず。●国は本予算を減らしているだろうが、補正予算との合算ではわめくほどは減らしていない。一方、確かに地方は減らしている。橋下が声?に主張したように、色付き補助金を減らして色無し補助金を増やしているため、好きなことに使えるようになり、乗数効果の乏しい政策に回っているからだ。●乗数効果は60~70%というのがマクロ経済学の授業でまことしやかに言われる数字だ。ただし、民主党がやった「子ども手当」は検証がなされたという報道があったように、わずか3割ということで失策だった。90年代の乗数効果がそこまで反映されなかった理由は、バブル崩壊を名目に財界が積極的に実施した賃下げ(労働者の手取り減少だけでなく、正社員から派遣化もある。)と考える。超大手企業はGDPに反映されない内部留保を増やしたが、賃下げや首切りをしている以上、三面等価の法則から成長しないことは自明だ。よって、公共事業が実施されてなければ、90年代はもっとGDPが下がったということだ。(2013/01/30)

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「公共投資の経済効果を考える」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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1ページ目の「政府が1兆円の公共投資業を行い(中略)これら増加した所得から1兆円以上税金が支払われることはあり得ない。」は事実だ。しかし、この1兆円がゼロだったなら、税収はゼロか?と問えば違う。よって、税の増収は間違いない。理論の飛躍が酷い。●GDP三面等価の法則を考えれば、外部要因(政府とは限らないが)が無ければ成長ゼロどころかマイナスが当然だ。GDPの計算式を考えれば、誰かがどこかで無から有を生み出すしかないのだが、多くは海産物のような統計の便宜上ゼロ円で入手できる物質か、財ではなく知能を利用したもの(一例はゲームソフト)を有価物に変えることが必要なはず。●国は本予算を減らしているだろうが、補正予算との合算ではわめくほどは減らしていない。一方、確かに地方は減らしている。橋下が声?に主張したように、色付き補助金を減らして色無し補助金を増やしているため、好きなことに使えるようになり、乗数効果の乏しい政策に回っているからだ。●乗数効果は60~70%というのがマクロ経済学の授業でまことしやかに言われる数字だ。ただし、民主党がやった「子ども手当」は検証がなされたという報道があったように、わずか3割ということで失策だった。90年代の乗数効果がそこまで反映されなかった理由は、バブル崩壊を名目に財界が積極的に実施した賃下げ(労働者の手取り減少だけでなく、正社員から派遣化もある。)と考える。超大手企業はGDPに反映されない内部留保を増やしたが、賃下げや首切りをしている以上、三面等価の法則から成長しないことは自明だ。よって、公共事業が実施されてなければ、90年代はもっとGDPが下がったということだ。(2013/01/30)

公共投資が悪いというステレオタイプの議論は意味がない。投資である以上、リスクがある訳であるが、大きなリターンが見込めるかどうかである。民間投資は、時間的にまた地域的に限定された中でのリスク付きリターンの短期ローカル投資の性格が強い。一方、公共投資は、時間空的に長期にして、広域的な性格が強いので、リスク付きリターンの長期広域、インフラ投資の性格が強い。 したがって、公共投資は本来、長期広域インフラ投資と本来的な意味で名称変更したほうがよい。しかしながら、私の経験から言えば、政府の景気対策、政治対策という側面が強く、広域インフラである以上法整備や地方自治体の協力が欠かせないため、高リスク、低リターンの投資にも協力せざるを得ないことが問題なのである。例を挙げれば、採算投資に限定して身の丈の投資を行ってきたときは良いが、不採算投資を要請された民間の西武鉄道(不採算スキー場など)、不採算路線を強要されたJAL(許認可の裁量権と不採算路線とのバーター採算が合わない例)及び国鉄、NTT、道路公団など、公共投資部門を担ってきた過去の推進役が破綻したことが査証である。今、国内に高リターン事案がない訳ではないが、いずれの機構も分割され、投資戦意がなくなってしまったことが問題なのである。(2013/01/30)

「経済対策で1兆円公共投資を増やせば、国全体の公共投資も1兆円増えるはずだ」と考えるのは、「他の部分は不変である」という部分均衡的な発想なのだ。⇒この部分について言えば、そもそも単式簿記を意図的に採用しているために全体の均衡が見えなくなっているし、官僚側もまたそれを意図的に利用して利権の保持に努めているのが原因でしょう。複式簿記で考えたなら公共投資のお金は資産ではなく負債側に回り、「どこかの時点で補填しなければ負債は減らない(増税か景気回復による税収上昇によって減らせる)」のに対して「資産として計上される公共設備や社会資本は減価償却の概念で価値が目減りしていく」不均衡が存在することが分かっています。 また、そもそも論で言うなら公共投資も「需要と供給」の関係で考えたら需要の無いところに公共投資を呼び込んでもその地方の税収は増えませんし(獣しか通らない高速道路等)、逆に維持費の方が投下資金よりも大きくなってしまう。それを弁えずにお金だけ使えば民間の需要が増えるという錯覚からいい加減覚めて欲しいですわなぁ、自民党も官僚も。(2013/01/30)

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