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アベノミクスが見せる日本の弱さ

減税と投資の効果を測り直せ

2013年2月5日(火)

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 「アベノミクス!? それは上手くいくのかい」

 安倍晋三首相が昨年末、就任する少し前、知人の米国人と話していたら、「へぇ」という顔と共に彼が聞いてきたのがこれだった。

 特に政治・経済の専門家でも、事情通でもない彼のような普通の米国人が「人名+ミクス」と聞けば、大抵思い起こすのは、ロナルド・レーガン元大統領。1981年にホワイトハウスに入った彼が打ち出した経済政策はレーガノミクスとして広く知られているからだ。

 減税と歳出削減、規制緩和による小さな政府で民間の活力を引き出し、一方で高金利政策によりインフレを抑え、強いドルを実現するというレーガノミクスは、景気低迷を国による需要創出を中心にしたケインズ的政策で乗り切り、経済を安定させる、それ以前の大きな政府型思想を一転させて広く知られた。

 だが、歳出で福祉予算を減らす一方、軍事費を増大したため歳出全体は減らないまま。一方、「減税→企業投資拡大→企業主導の景気回復→税収増」の目論見は外れ、大型減税だけが効いたため、財政赤字は89年までの任期中、激増する結果となった。さらに高金利政策も、ドル高から輸出減・輸入増大をもたらして1期目の途中まで上手くはいかなかった。

 潮目が変わったのは、高金利政策を一擲した後半から。金利低下によるドル安への反転で輸出を回復させ、85年のプラザ合意による一段のドル安はさらにそれを加速させた。加えて、当初の狙い通り企業部門を活性化させなかった減税が個人消費の盛り上がりをもたらして景気回復を演出する格好となったのである。

 景気回復という結果を良しとすれば「全て良し」となるが、レーガノミクスそれ自体が成功と言えるのかどうか、当の米国人にも判然としないのはこの辺りの事情による。「アベノミクスは上手くいくのか」と聞いてきた件の米国人の問いの底に潜む小さな含み笑いにはそんな含意もあるのだろう。

財源なく進む巨額の企業減税

 その目で見ればアベノミクスはどうだろう。これが「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」、そして「民間投資を引き出す成長戦略」の3本の矢からなるのは知られる通り。既に景気対策の10兆3000億円を含む総事業費20兆2000億円の緊急経済対策を決め、日銀が物価上昇率2%を達成するまで金融緩和を続けることも政府・日銀の共同文書に明記されている。

 矢は次々と放たれているというわけだが、点検するまでもなく気づくのは、アベノミクスは経済学で言うところのサプライサイド(供給側)とデマンドサイド(需要側)、それぞれのてこ入れを一遍に盛り込んでスタートさせているということだ。

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「アベノミクスが見せる日本の弱さ」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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