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米国の甘い成長見通しにご用心

乖離する市場期待と実体経済

2013年2月8日(金)

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 昨年来、日本だけでなく世界的に金融市場は「緊張緩和状態」にある。その主因が主要国における金融政策の長期的な緩和コミットメントにあることは周知の通りだが、それ以外にも世界危機の元凶であった米国住宅市場の底打ちが確実となり、ユーロ債務危機は先送りされながらも最悪期を脱したとの見方が広まっていることなども、大きく影響している。

 今年に入って上昇を続ける日経平均は1万1000円台まで上昇し、米国でもS&P500が1,500ポイントの大台に乗せた。リスク資産の代表格である米国ジャンク債市場でも、昨年来個人投資家の資金までもが大量に流入して、その平均利回りは6%を割り込んで過去最低水準での推移となっている。

 欧州市場でも金融危機以来初のCLO(融資資産担保証券)が発行され、銀行はECB(欧州中央銀行)から供与された長期流動性を繰り上げて返済開始するなど、市場機能の回復や安定化の傾向が見え始めている。

 ここ数年の市場にしみ込んでいた「何か大きな底割れリスクがあるのでないか」という漠然とした疑念や、いわゆる「テール・リスク」への危機感が薄れているのは事実だろう。先月書いたように、世界的に長期金利が上昇するリスクはあるものの、それが2008~9年に見られたような打撃を実体経済に与える可能性は、現時点に限定して言えば、極めて乏しい。

米国経済に左右される構図は変わっていない

 こうした状況に日本の政策転換期待もうまく乗って、世界的に金融市場には順風が吹いている。さらに中国経済の回復感も市場心理を支えている。だが、そんなさまざまなプラス材料の中でも最大の影響力を持つ要因は「ようやく米国経済が元に戻ってきそうだ」という安堵感が市場に生まれてきたことではないか、と筆者は感じている。

 先般、WTO(世界貿易機関)とOECD(経済協力開発機構)が共同で発表した「付加価値で見る世界の貿易統計」でも、最終的に付加価値が消化される最大の市場は米国であることが示されていた。中国の潜在的な購買力が魅力であることに変わりないが、やはり米国の需要があってこその世界経済なのだろう。それが市場の安心材料でもある。

 その統計はまた、日本が目指している「高付加価値商品」の最終的な購買力は依然として米国市場にある、ということも物語っている。米国経済が元気になれば日本経済も元気になる、という伝統的な構図はそう簡単には変わらないのかもしれない。

 その米国では住宅や自動車販売などが好調であり、内需の堅調さに支えられて経済成長率が上振れすれば、FRB(米連邦準備理事会)は従来の金融緩和政策を軌道修正するかもしれない、といった思惑すら浮上してきた。

 先週発表された10~12月期の米国GDPは前期比0.1%減と3年半ぶりにマイナス成長となったが、これは国防費などの政府支出減、在庫減、純輸出減などのマイナス材料が重なったものであり、1~3月期の米国は再びプラス成長に戻ると見られている。個人消費や住宅投資、ソフトウエア投資などは堅調であり、景気後退など心配するには当たらない、というのが一般的な読み方である。

 先週開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)においても、米国の景気が足踏みしているとの認識が示されていたが、それは昨年秋のハリケーンなどの一時的要因によるものだ、と分析されている。株式市場も特にネガティブな反応は見せず、下値では確実に買い注文が入っているようだ。

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「米国の甘い成長見通しにご用心」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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