• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

アルジェリア人質事件で終焉した「もう1つの安全神話」

リスクと隣り合わせなのは原発だけではない

2013年2月12日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 アルジェリア人質事件の発生直後、ロンドンのあるエネルギー関係者は大きなショックを受けていた。情報が錯綜する中、何が起きているのか詳しいことは分からない。彼は驚きを隠さず、次のように話してくれた。

 「これまで安全とされてきたエネルギープラントの中にテロリストが入り込んだ。その事実に一番衝撃を受けている。資源国にとって、オイルやガスの生産拠点は戦略施設。アルジェリアのみならず、インドネシアなどでもプラントは軍隊によって守られ、安全が確保されているはずだった。それが、最前線で事業を手がける大前提だったのに」

「フクシマ」と「イナメナス」のある共通点

 取材をしながら、今回のアルジェリア人質事件は、私たち日本人にとって「もう1つの安全神話」の崩壊を意味するのではないか、と考えるようになった。「もう1つの」と書いたのは、福島第1原子力発電所の事故によって崩れた神話と、ある種の類似性を感じたからだ。それは、大規模な「事故」や「事件」が起きるリスクを意識せずに、私たち消費者がエネルギーを好きなままに使うことができるという「安全神話」が、原発のみならず、化石燃料でも成り立たないという事実を突きつけられたからだ。

 もちろん、巨大な地震と津波をきっかけとした原発事故と、イスラム過激派テロリストによる人質殺害事件を同列には比較することはできない。原因も違えば、リスクへの対処の仕方も異なるからだ。それでも、私たちが日々消費している莫大な量のエネルギーを安定確保することは、常にリスクと隣り合わせであるということを強烈に印象づけるには十分だった。

安全が確保されていたはずの戦略施設

 石油やガスなどのエネルギー施設は、軍事施設に並ぶ戦略拠点である。だからこそ、特に国境付近や紛争地域に近いエネルギー施設などでは、治安部隊や軍隊が警備にあたり、テロや戦争で標的にならないように万全を期すという。今回、テロの標的にされたアルジェリアのイナメナスにあるガス関連施設は、まさにそのような戦略拠点だった。

 今回の人質殺害事件を起こしたイスラム過激派は、マリに軍事介入したフランス軍に対し即刻、撤退することを要求し、事件の発端はあたかもフランスによるマリへの介入が理由であるかのような主張を展開していた。だが、今回の襲撃がかなり組織だっていたことから、フランスによるマリへの軍事介入よりずっと以前から周到に準備された計画だった可能性が高いと指摘されている。実際、一部のリスクコンサルタントは、アルジェリアのエネルギー関連施設へのテロ攻撃のリスクが高まっていることを昨年から警戒していたようだ。アルジェリアが今回のテロを防ぐことができなかったのは、残念でならない。

コメント3

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「アルジェリア人質事件で終焉した「もう1つの安全神話」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官