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旧来型システムへの回帰

私はなぜ公共投資主導型の経済政策に反対するのか(下)~政権復帰の経済学4

2013年2月13日(水)

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 これまで公共投資主導型経済政策の問題点を考えてきた。今回は、長期的な視点から日本の公共投資が向かうべき方向を考え、アベノミクスの流れがそれに反しているということを述べてみたい。

日本経済社会の構造変化

 私は、2006年に『日本経済の構造変動』(岩波書店)という本を出して、日本経済の構造変化の方向を論じたことがある。そのあらすじは次のようなものであった。

 日本の経済社会システムは、雇用、企業、金融、公的部門などのサブシステムから構成されている。日本の経済が良好なパフォーマンスを発揮し、国民の生活水準が上昇していくためには、これらサブシステムが、環境変化や時代の要請に合わせてリニューアルし続けていく必要がある。これが「構造変化」とか「構造改革」と呼ばれるものである。

 これらサブシステムの動きは、次のような共通のストーリーで語ることができる。それは、(1)各分野にはそれぞれ日本型とも言うべき特徴があった、(2)それが時代の変化に適合しなくなってきた、(3)そこで新しいモデルを求めて試行錯誤が行われつつある、というものだ。

 もちろんサブシステム相互間には「相互補完性(お互いにもたれあって存在している状況)」があるので、一つのサブシステムだけが単独で変わることは難しい。しかし、相互補完性が強いということは、強い圧力が生じて一部が変わると、関連するサブシステムも変わらざるを得なくなるので、全体が「ドミノ倒し」のように次々に変化を迫られることになるはずだ。

 私は、当時各方面で進行していた従来型の制度・慣行を改めようとする機運は、このドミノ倒しだと考えた。こうした試行錯誤とドミノ倒しが続いていく中から、時代の要請に合った「新日本型システム」が生まれていくはずだ。これが私の考えだった。

 自分で言うのも何だが、この本は結構評判が良かった。ある先輩の大学教授は「小峰さんの数ある著作の中でも最高の出来だ」と褒めてくれた。実は自分でもそう思っていたので、そんな風に褒められると気分が良かった。すっかり気を良くした私は、日本の構造改革の行く手にかなり楽観的になってしまった。だがこれが間違いのもとだったのだ。

 その後時間がたつにつれて、私の楽観論にはあまり根拠がないことが分かってきた。そもそも、私が書いた本の評判が良かったからといって、私が本で書いた通りの方向に世の中が動いていくわけではないのだ。要するに、日本型経済社会システムはあまり変わらなかったのだ。変わらなかったどころか、旧来型へと逆流する動きさえ見せている。アベノミクスに見られる公共投資の動きがまさにその逆流なのである。

土建国家日本

 前述のように、日本の経済社会のサブシステムには、「日本型とも言うべき特徴があった」→「それが時代の変化に適合しなくなった」→「そこで新しいモデルが試行錯誤で求められつつある」という共通のストーリーが成立する。公共投資についてこのストーリーをたどってみよう。

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「旧来型システムへの回帰」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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