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M&Aが総合格闘技と言われる理由

ストラクチャーと契約書の重要性

  • 服部 暢達

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2013年3月6日(水)

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 前回、日本企業のM&A成功率が低いのはそもそもM&Aが「負けから始める投資」であるということの理解が足りないことが重要な原因であり、そこから成功のための5つの必要条件があるとの指摘をした。しかし、そもそもリスクの高い買い手側でのM&A戦略を成功させるためにはその5条件だけで十分、というわけではない。加えて、実際に買収案件を進めるにあたり、技術的に非常に重要な要素があと3点ある。

買収価格が妥当な範囲に入っているかどうか

 1点目は基本中の基本だが、買収価格が妥当な範囲に入っている事だ。企業の価値(株主に帰属する株主価値、あるいはこれに債権者に帰属する価値、すなわち有利子負債から現金同等物を控除した純有利子負債を加えた会社総価値)は、上場会社の株価でさえ日々変動することからも分かるように、ピンポイントで正確な値を算出できるという性質のものではない。あくまで様々な手法で測定した結果を総合的に判断して、例えば「100億円から140億円程度の範囲」というような一定のレンジで表現することができる程度のものである。

 加えてそのように測定される価値はその会社が現在の経営方針をそのまま継続する前提で測定されたものであり、スタンドアロンの価値と呼ばれるものである。一方、M&Aにおける買収価格はこれに適正といえる範囲の買収プレミアムを上乗せした価格ということになる。

 M&Aにおいて買収価格が妥当であるということは、合意に達した買収価格の前提となったスタンドアロン価値が、計算によって得られる理論的な価格のレンジの範囲内にある、という意味と、これに買収プレミアムを加えた買収価格が、自分が今までと異なる経営方針でその会社を経営した場合に実現できる、シナジーを含めた買収後の予定価値よりは安い価格である、という2つの意味を持っている。しかしこれは当たり前の条件だろう。法外な値段で買ったり、自分が実現できると思う価値以上の価格で買ったりしてしまえば成功はまず不可能だ。

採用する「買い方」が妥当かどうか

 2点目は、買収に当たって採用する買収ストラクチャーが妥当であることだ。ストラクチャーという表現は一般にあまりなじみがないだろうが、要は「買い方」である。

 一般の商取引であれば売買の対象となる物件が特定され、価格に関する合意が整えば通常売買の合意が成立したとみなされる。しかしM&Aにおいては対象会社とその価値(例えば株主価値)について合意が成立しても、実際に売買を実行する方法が詳細に合意されないと、対価を支払う先も支払う金額も大きく変動し得るので、物件と価格の合意だけでは到底売買の合意の成立には至らないのである。

 例えばXが100%保有するA社を、株主価値100億円で議決権の50%をYに売るという合意が成立したとしよう。この場合50%議決権の移動にはさまざまな方法が考えられる。

 いちばん簡単なのは(1)Xが保有するA社の発行済株式(例えば100株)のうち50株をYに50億円で売る、という方法だろう。この場合YはXに50億円支払うことになる。

 あるいは(2)A社が新たに新株を100株発行してこれをすべてYが引き受けるという方法もある。この場合も売買実行後A社の議決権はXとYでそれぞれ100株、つまりそれぞれ50%保有することになるが、Yは対価として100億円をA社に支払うので対価の支払い金額も支払う相手も(1)とは大きく異なる。

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