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自分の製品に「頬ずり」できますか

2013年2月28日(木)

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 「トヨタ自動車さんも大企業だが、ほとんどがクルマのビジネスなので機能が整理されている。パナソニックはわかりにくい姿。昨年6月末に社長になったが、なかなか会社の全貌を知る機会がなかった」。

 パナソニックの津賀一宏社長は今年1月、米ラスベガスで開かれた家電ショーで、記者団にこう語った。企業のトップは取り扱う商品・サービスをすべて把握しているわけではない。とりわけパナソニックのような連結売上高8兆円、グループ従業員が30万人を超える巨大企業ではなおさらだ。

 だが、こういったコングロマリット企業では当たり前の現象に対し、率直に危機感と焦りを示した津賀社長は、少なくともパナソニックの歴代経営者の中では異色な存在かもしれない。

津賀一宏パナソニック社長は90もあったビジネスユニットを「事業部」に名称変更し、50まで絞り込む組織改革を断行する

 そのパナソニックが3月末に発表する中期経営計画で大幅な組織改革を実施するという。これまで90もあった商品・サービスごとの事業部(パナソニックではビジネスユニット=BU=と呼ぶ)を50程度に減らし、名称も「事業部」というわかりやすい呼び名に変える。

 90のBUを束ねてきた9のドメイン(事業領域ごとの事業本部)も、名称をカンパニーと変えて、9つから4つに絞り込む。各事業部に生産部門と営業部門をできるだけ取り込み、製品ごとに収益管理を徹底する組織に改めるのが目的だという。

広報も「全部を把握できません」

 いったい90ものBUとはどんなものがあるのか。同社のホームページなどからパナソニックの製品群を思い浮かべてみた。

 プラズマテレビ、液晶テレビ、ブルーレイ・DVDレコーダー、デジタルカメラ、デジタルムービーカメラ、ミニコンポ、ICレコーダー、電話機、ファクス、インターホン、SDメモリーカード、ノートパソコン、スキャナー、カーナビ、ETC車載器、スマートフォン、携帯電話、電動工具、冷蔵庫、炊飯器、エアコン、洗濯機、乾燥機、掃除機、食器洗い機、マッサージチェア、太陽光発電・蓄電システム、リチウムイオン2次電池、LED照明器具・・・。

 思いつくままにあげた限りではとても90には至らないどころか、同社が組織改革で縮小するとしている50にも届かない。思いあまってパナソニックの広報部に問い合わせてみた。

 「90のBU全部とは言いませんが、10か20ぐらい代表的なものを教えてください」。広報担当者は快諾して調べてくれたが、30分後に返ってきた電話の声は暗かった。「90のBUを羅列した資料は見当たりません。社内電話帳で調べてみましたが、テレビBUとかスマートAVBU、ソーラーBU、ビューティーリビングBU・・・くらいしか見当たりません。デジタルカメラや冷蔵庫、洗濯機とか、そういう名前のBUはありませんねえ」。担当者があげてくれたBUは10にも満たなかった。商品ごとにすべてのBUがあるわけではなく、BUの下にBUがあったりして「社内でもすべてを把握している人は、ほとんどいなんじゃないでしょうか」。広報担当者の厚意を踏みにじるようで胸が痛むが、全く要領の得ない回答だ。驚くべき状況と言わざるをえない。

 津賀社長が焦るのもむべなるかな。1918年、松下幸之助氏が電球ソケット一つで創業したパナソニックは、創業100年を前に末端の社員はおろか、社長でさえその把握がままならないほど商品領域を広げてしまったのだ。

コメント4件コメント/レビュー

結局のところ情熱だと思います。サラリーマン化した経営トップでは魅力的な企業、製品を生み出すことはできない。(2013/03/01)

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「自分の製品に「頬ずり」できますか」の著者

小板橋太郎

小板橋太郎(こいたばし・たろう)

前日経ビジネス編集委員兼副編集長

1991年立教大学文学部史学科卒、日本経済新聞社入社。整理部、社会部、産業部などを経て2011年から日経ビジネス編集委員。現在は日本経済新聞社企画報道部デスク

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

結局のところ情熱だと思います。サラリーマン化した経営トップでは魅力的な企業、製品を生み出すことはできない。(2013/03/01)

一部革新的な商品を作っているのはいいのですが、いくら事業再編やBUを事業部と名前だけ変えたところで、大半が他社の後追いで「マネシタ」と呼ばれる製品つくりをしている体質は変わらないでしょう。残念ながら値段相応の魅力がないのが日本の家電の現状だと思います。(2013/02/28)

言わんとすることは、まま分かるのだが着眼点に違和感が感じられる。例えば白物家電はむしろ新興国の産業発展の為の案件としてそのジャンルに勤める優秀な人材を新規開拓、もしくは成長部門へ能動的に異動させてきたのか?ということがひとつ。もうひとつは家電のデパートを標榜する為に培ってきたパナソニックス系列家電店の問題。グループの良し悪しなのではなくて「町の電気屋さん」というのは足腰が弱ってくる高齢化社会でこそ必要となるのに当のお偉方は足元を見ない。故に加盟店がどんどん寂れていってるのだが、その責任は感じないのだろうか?量販店にしろ、新興通販グループにしろ「地域に根ざした安心のサポート係」という強みは得られないのに、だ。 もう少し掘り下げてみて欲しい記事ですね。(2013/02/28)

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