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元歌舞伎町のすご腕スカウトが挑む新しい行政

33歳で初当選、異能の市長が地方を変える(上)

  • 浅野 祐一

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2013年3月5日(火)

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 「こんな汚い選挙は見たことがありません」。改革派の若手首長として知られる佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏が戦慄した市長選挙が、1月下旬に三重県松阪市を舞台にして繰り広げられた。再選を目指す山中光茂氏と既存政党や各種団体の手厚い支援を受けた竹上真人前県議との一騎打ちの選挙だった。

政党劣化を示すあきれた市長選

 勝利を収めたのは、現職候補だった山中氏。有効投票数の55.4%に相当する4万650票を獲得した。一方、三重をお膝元とする自民党の田村憲久厚生労働相、民主党の中川正春元文部科学相だけでなく、投票日前日に自民党の石破茂幹事長の街頭演説まで繰り出した竹上氏。徹底した組織戦を展開したにもかかわらず、約8000票の差を付けられて敗れた。

 竹上氏は決して選挙に弱い候補ではない。松阪市を選挙区とした県議選では、同選挙区でトップ当選を重ねてきた実績を持つ。そんな候補者が山中氏に及ばなかったのだ。既存の政党や複数の業界団体からそっぽを向かれ、勝手連による市民が草の根運動で広げた応援を頼りにした現職市長に。

 これまで4年間にわたって市長や市役所の職員が、「市民と共に汗を流しながら進めてきた市政改革の成果だ」と山中氏は胸を張る。そして、その改革は「決して一人の市長がトップダウンで進めてきたものではない」と断言する。

 一体、人口17万人の地方の中規模都市でこの4年間に何が起こっていたのか。そして、市長のどのような行動が、衆院選大勝の立役者の一人である石破幹事長や現職大臣などの応援と各種業界団体の支援をはねのけたのか。再選を果たした山中氏へのインタビューを通して探った。

石破茂幹事長の応援も吹き飛ばす

1月27日に投開票された市長選では、かなり激しい選挙が繰り広げられたそうですね。

山中 光茂(やまなか・みつしげ)
山中 光茂(やまなか・みつしげ)
1976年三重県松阪市生まれ。2009年2月に33歳の若さで三重県松阪市長に就任。市民を巻き込んだ斬新な改革によって市政を変革してきた成果が評価され、13年1月の市長選で再選された。マニフェスト大賞実行委員会が主催するマニフェスト大賞で10年にグランプリを受賞。12年にはジュネーブ市長フォーラムに招聘されるなど海外からも注目され始めている。94年に慶応義塾大学に入学してから外交官を目指した勉強や児童養護施設での活動にいそしむ。当時、夜は生活費を稼ぐために、新宿・歌舞伎町でキャバクラのホステスのスカウトをするなど、水商売の世界でも生きてきた。外交官試験に合格するも外務省と自らの考え方の違いを理由にその道を絶ち、群馬大学医学部に編入学して医師となる。医師国家資格を取得後、アフリカに渡り、現地住民と共にエイズ対策活動に汗を流す。こうした経験を通じて多様な価値観の存在を知り、与えるだけでは幸せを感じられないこともあると痛感。政治の世界に飛び込んで、市民と一緒に現場の課題を解決する取り組みに注力してきた。
(写真:車田 保)

山中:私としては政策論争をしたかったのに、選挙期間中はひどいことが立て続けに起こりました。

 例えば、私が自分のアパートから出てくるところが盗撮され、その映像に「市の職員である愛人宅から出てくる」という趣旨のコメントを付けた動画がユーチューブに投稿されました。それから、普通のおじさんと並んで写っているようにしか見えない写真を、暴力団と付き合っている写真だとして流布されたのです。念のため警察にも確認してみると、「そんな暴力団関係者はいない」と言われました。

 まだまだあります。市民ボランティアが作成、掲示してくれたポスター600枚が、ほぼ全て剥がされました。地域で予定されていた演説会の数時間前に、自治会長名をかたって「今日の演説会は中止になりました」と嘘を伝えるビラがまかれたこともありました。

 企業に対する圧力もあったようです。ある建設会社は、「相手候補を応援しなければ取引を中止する。もう見積もりはお願いしない」という圧力を受けたと聞いています。逆にこれまで取引がなかった会社に対しては、「応援してくれれば見積もりを取ってあげる」と、アメをちらつかせる行為もあったそうです。

 相手候補は、既存の政党や業界団体を巻き込んだ組織的な選挙戦を展開していました。自民党の石破幹事長や現職の大臣をはじめ、大物が続々と松阪に応援に駆けつけていました。国政の幹部クラスの人材が、たった1人の現職市長をつぶしにかかってきたのです。

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