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量的緩和コストの計算を始めた米国

「出口戦略」で想定される利息支払いと売却損

2013年3月8日(金)

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 世界的な金融緩和は、いつ終わるとも知れない状況にある。新総裁を迎える日本と英国の中銀は、ともにバランスシートをさらに拡大させる方向にある。最悪期を脱出したと言われたユーロ圏においても、イタリア総選挙を契機として債務危機再燃を危惧する声が強まっており、ECB(欧州中央銀行)の支援にますます依存する傾向が強まりそうだ。

 先進国の中で、比較的量的緩和からの「出口」に近いのが米国だ。12月に続いて1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)においてもいわゆる「QE3」の見直しに関する議論が熱気を帯びてきたことは、議事要旨で明らかになっている。

 だがバーナンキ議長は、先般の上下院での議会証言で量的緩和のメリットを強調し、QE3継続の姿勢を明確に打ち出して市場の不安感払拭に努めている。FOMC内部での主導権を維持するための自己アピールでもあろうが、実際に高止まりする失業率や成長率の低空飛行状態、そして目標範囲内に収まっている物価上昇率などを見れば、今年中に現行のQE3路線を変更する可能性は確かに低いと考えざるを得ない。

 ただし、複数のFOMCメンバーが「量的緩和の軌道修正」に向けた準備の必要性を執拗に指摘し続けていることは無視できない。タカ派の地区連銀総裁だけでなく、スタイン理事のように金融市場動向次第では量的緩和の軌道修正も考え得るといった見方を示す動きも見え始めている。

アジアの“バブル”より「クレジット市場」の過熱を懸念

 米国の場合、量的緩和政策の軌道修正が検討される理由は、以下のように整理されよう。

(1)雇用環境が大きく改善されること
(2)インフレ率が許容範囲を超えて上昇し始めること
(3)資産バブルが顕著になってくること
(4)緩和のコストが明らかにメリットを超えてくること

 現状を鑑みれば、まず(1)と(2)の理由で現在の政策が年内に変更される可能性は無いと言えるだろう。住宅市況や自動車販売などの回復が顕著だから、といった理由だけでQE3が解除される見通しは皆無に等しい。だが(3)と(4)に関しては、少し目配りをしておいた方が良いと感じている。

 仮に水面下でもFRB(米連邦準備理事会)がQE3の停止や縮小を検討し始めれば、その影響は米国内に止まらず、為替や各国の株式・国債などの市場、そしてドル資金に依存する新興国経済などを揺さぶることは必至である。日本経済も無関係とは言えないだろう。

 まず(3)の資産バブルの点からチェックしてみよう。いま、リスク資産価格の上昇が顕著に表れているのは、香港やシンガポールなど一部アジアで見られる不動産市況だ。その背景にあるのは中国マネーだと言われており、直接FRBの緩和姿勢とは関係ないように見えるが、米国からの資金が中国へそして近隣の不動産市場へ、と流れている可能性は否定できない。

 香港は2012年秋に続いて先月も住宅ローン規制を強化したが、その程度でバブル的な市況が沈静化する気配はなさそうだ。もっとも、これはFRBの姿勢を変化させる要因とはなりにくい。QE3に関するバブル議論としては、やはり米国内の株式やREITあるいはジャンク債(高イールド社債)といった資産市場動向に絞られるだろう。中でもいま過熱感への懸念が最も強いのは、ジャンク債に代表される「クレジット市場」である。

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「量的緩和コストの計算を始めた米国」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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