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それでも「倫理に関しては、正論を説く」ことだ

技術倫理に見る、企業の社会的責任(第3回)

2013年3月22日(金)

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 日本にも、倫理観や責任感の高さを示す、素晴らしい取り組みを実施している企業があります。例えば、ヤマト運輸は、宅急便1個あたり10円の寄付金を寄付し続けていました。

株主のためだけに事業に取り組んでいるのではない

 このヤマト運輸の取り組みを、経済同友会の委員会で紹介してもらったところ、真っ先に出てきた質問は、株主から訴訟された時の対応についてでした。ヤマト運輸の答えは、「戦っていきます。われわれは社会のために事業に取り組んでいるのであって、株主のためだけに、事業に取り組んでいるのではありません」というものでした。ここまで回答できるのは立派で、オーナー経営的な企業だからできることなのかもしれません。

 日本の場合、オーナー経営の企業の方が正しいことを積極的に実行し、悪いと判断すればしっかりと止めていく傾向が強いように感じます。合議制で、取締役会の意見を集合するような運営の企業の場合、たとえば営業とマーケティング、開発との間に立ち、意見の違いを調整する人物が必要になってきます。

 こうした人材を育てようとする、経済同友会の「プロデューサー型人間」の育成の取り組みに、倫理の項目を加えてほしいと考えています。技術者の懸念を正しく判断できる人物がこうした役割を担わないと、日本の企業が今後、世界に進出していった時に、日本の中では運営できていたつもりでも、世界ではうまくいかない場面が出てくるでしょう。米国なら、懲罰的賠償が課されたり、損害を被った人であれば、誰でもまとめて訴訟することができるからです。

正論を説くと煙たがられるが……

 わたしの技術倫理の講座は、受講生10人のうち外資系企業の所属が3人、残りの7人は日本企業の所属です。講座の中で、いつも外資系企業の従事者と日本企業の従事者との間で、意見の違いが出てきます。外資系企業の従事者の場合、とことん指摘すると主張します。外資の場合、指摘しないと後々、共同責任を問われるからです。

 これに対して日本の企業の場合、正論を説く人物は煙たがられて嫌われてしまう。それでも、倫理に関しては正論を説かないといけないと考えます。

 現在の日本の企業は、立派なCSR関連の文書を作っています。また、多くの企業で目安箱のような仕組みを設け、誰が投じたのかは伏せたまま、問題を提起できるようになりつつあります。ですから、倫理に関してかなりの情報を集めることができるはずです。

 時々、見受けられるのは、そういった仕組みにもかかわらず、問題を提起した人物の氏名をその当事者の相手に知らせてしまうといったことです。こうしたことが起きた場合、その企業の仕組み自体が信用を失い、同時に世間からの信用も失います。

似たような事件を、同じ企業が繰り返すDNA

 また、何か問題が生じた際に、日本では責任を取るという発想に乏しいように感じます。よく米国人から指摘されるのは「原子力発電でこれほどの事故を引き起こしていながら、誰も個人として責任を取っていない」ということです。何が起きても、日本では個人の責任を追及されることはあまりありません。最後は全体で責任を取るということは、何もしないのと同じで不思議だと思われています。

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「それでも「倫理に関しては、正論を説く」ことだ」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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