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「トウ小平の談話は隠蔽の傑作だ」

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(3)

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2013年3月6日(水)

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 中国共産党指導部は、国家主導の改革と草の根の改革の2つが経済改革成功の要因であると力説している。しかし、真実はまるで違う。国家主導の国有企業改革が停滞するなか、農村部で私営企業と郷鎮企業が予想外に急成長し、改革そのものを救ったのだ。
 『中国共産党と資本主義』、今回は、第6章の3節をお送りする。

 中国の経済転換に、国家主導と草の根の2つの改革が存在したことは疑いない。この改革の二重構造を理解しないと、「われらの時代の偉大な物語」の理解に混乱を来すことになる。

 草の根改革は国家主導の改革の陰に隠れ、はっきり区別されず、第一の改革の指揮者である中国政府が、第二の改革を計画・促進したと考えられた。これは草の根の運動を誤って国家のものと見なし、国家中心の中国の市場転換という誤解を生んでいる。

 このため一部の中国の経済学者には、経済改革の初期は政府が「トップダウン」で実施したと考え、まったく異なる性格をもつ草の根の改革を無視する向きもあった。広く使用されている一般に有益で権威ある経済改革の教科書で、呉敬レン教授は2つの異なる改革の存在、国有セクターと非国有セクターの改革の存在を指摘したが、両方とも政府が計画したかのように書いている。「国有セクターの企業自主権拡大の改革が苦境に陥ったとき、トウ小平をはじめとする指導部は、都市の国有セクターから農村の非国有セクターへと、その改革の重点を改めた」。

 さらにこう続ける。「国有セクターに大きな改革策を施すのではなく、非国有セクターに改革の重点を置き、そこで市場志向の企業を創設して、経済の成長を牽引させた。この新しい戦略は『体制外先行』あるいは『増分改革』の戦略と呼ばれた」

非国有セクターの急成長で救われた指導部

 本書による辺境革命の説明はこうだ。1980年代の中国の市場転換は、国家主導の改革で国有セクターが再生できずにいたあいだ、主として非国有セクターが推し進めた。

 しかしこの「増分改革」という結果は、政府の意図した戦略がもたらしたものではない。政府が徐々に農民への統制をゆるめ、都市の失業者による自営業の要求を認めたのは事実だが、社会主義がなおも国家所有に大きく依存していると信じられていたこの時期に、非国有セクターに経済成長の主要な原動力となることを当局が期待していたとは思えない。

 むしろ、国家主導の企業改革が停滞するにつれ、指導部は非国有セクターの意外な急成長があって救われたのだ。新興の私企業こそが、国有企業の提供しない財とサービスを供給して、もはや土地にしばられていない農民と、国有企業には吸収できない都市居住失業者のための雇用を創出した。 

 指導部自体は、統制の外にもう一つの改革路線があることを率直に認めて、私営農業と郷鎮企業を2つの「中国農民の偉大な発明」と呼んだ。しかし経済改革の公式説明では、2つの異なる改革の出所を隠し、政府が先見の明ある設計者であり、市場転換の全体のプロセスをつぶさに根気よく監督していたかのように述べている。1984年10月10日、西ドイツのヘルムート・コール首相と会見した際、トウ小平は初めてこの改革が漸進的で国家中心であるとの解釈を明らかにした。

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