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不謹慎なギャグマンガ家は何をなすべきか

2013年3月7日(木)

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 そしてまもなく2年目のあの日が来るのだった。

 最初の揺れが来たのは、いや、最初の地鳴りのようなものを感じたのは、仕事部屋のソファで仮眠していたときだった。月刊連載の校了を前に、かなりギリギリのスケジュールでマンガを描いていたのだが、ちょっと疲れたのでブレイクをとっていた。

 初期微動を感じてからS波が到達するまでにかなりの間隔があった。
 にもかかわらず、その揺れは尋常ではなかった。しかも長かった。
 とにかく、あの日東京で感じた揺れの印象を一言でいうなら

「長い」

 だった。かなりの振幅の揺れが、いつまでもいつまでも終わらなかった。

 震源は遠い。なのにこの揺れの大きさは……そう考えると、地震規模が尋常でないことはたやすく予測できた。

 テレビをつけ、習慣で録画機をスタートさせた。
 そしてテレビとツイッターの数週間が始まった。

 被災地のまっただ中にいた方々にとっては「なにが呑気にテレビとツイッターだ」であろう。まさしくその通りで、そういうことしかできないジレンマは、在宅マンガ家もひしひしと感じていた。

 現実に大変なことが起きているのに、こちらはそれをずっとテレビで見ているしかない。ツイッターでもみんな震災のことをつぶやいていて、ものすごい速さでTLが流れていくが、いちばん深刻な被災地からの情報はなかなかあがらない。あがっても、それが事実なのかデマなのか、すぐには判断しようがない……。

 いつもの録画もなんだかうしろめたかった。
 あの日を境にツイッターも確実に別のフェイズに移行したと思う。

 それまでは「テレビと現実」だったものが「テレビとツイッターと現実」の三角関係のような感じになった。

 実務的な意味では、その効用が大きくクローズアップされたが、個人的にはけっして楽しいだけのものではなくなった。それまでのツイッターは(私には)まだどこか能天気で牧歌的で、いごごちのいいものだったのだ。

 マンガもまた、むずかしくなった。

 目の前で(といっても主にテレビなわけだが)展開されているあり得ないような現実に、その日は「もうあと何年も心から楽しい気持ちになることなんてないのではないか」と思ったし、とてもじゃないが「当分はギャグマンガなんて描けないだろう」と思った。

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「不謹慎なギャグマンガ家は何をなすべきか」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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