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「集団学習」メカニズムの欠如とトウ小平の南巡

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(5)

  • ロナルド・コース

  • 王 寧

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2013年3月11日(月)

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 資本主義とは市場の価格メカニズムの作用であり、価格変動による需給調整メカニズムである。中国では1970年代末から政府価格と市場価格が併存する二重価格制、いわゆる双軌制が広範に採用され、価格を通じての試行錯誤による集団学習メカニズムが阻まれていた。ようやく1990年代前半、価格改革と税制改革が実施され、市場メカニズムが機能するようになる。
 本節は『中国共産党と資本主義』のなかで、コースが中国的市場発展の経路を考察している部分である。

 意図しなかった改革の2つの路線の存在は、驚くほど功を奏して、北京がなおも社会主義を掲げているなかで中国に速やかに市場経済を復活させる助けとなった。その途上の1980年代初めに、北京は3つの主要な改革策を採用した。経営請負責任制の大々的な適用、価格の双軌制の採用、中央と地方政府の分税制の施行である。

 それぞれ、ある程度は経済を前進させることに成功した。とはいえ、これらの政策には国家経済を細分化し、国有と非国有企業の価格設定の環境を混乱させた責任もあった。結果として、市場競争が妨げられ、新興の市場経済が損なわれた。

価格環境を混乱させた経営請負責任制と価格の双軌制

 1980年代前半、国有企業がその監督政府当局に対して得た自治権を公認するため、経営請負責任制が導入された。しかし企業改革への請負制はパンドラの箱を開けた。国有企業は、投入物の価格や量に加えて、税負担についても政府当局と個別交渉し自社の条件をまとめた。企業ごとに政府の規制当局と結託して、独自の規則を定めたのである。

 同時に、政府は価格改革の代わりに双軌制を拡大した。双軌制が生まれたのは、1970年代末、国家計画のノルマに達したあとの生産物は市場で売ってもよい、と政府が国有石油会社に認めたときだ。このため国有企業は民営化はしないままで市場シグナルに触れ、その統制を受けた。

 同じころ、価格の双軌制によって、国が統制する原材料を非国有企業が入手できるようになり、国有企業と真っ向から競うための門戸が開かれた。非国有企業はその投入物への支払いが割高になることも多々あったが、労使関係も含めて経営に関してはるかに自由だった。その結果として、90年代初めには、郷鎮企業が工業成長率の40パーセントを、また輸出の40パーセントを占めた。

 しかし双軌制の広範にわたる採用は中国経済を混乱に陥れた。政府価格と市場価格では何倍も隔たることがあって、スポット価格はその間のどこに定まるともわからなかった。企業によって投入物価格がまちまちなので、生産物市場で競争するときにも、生産性や経済効率を比較することができなかった。さらに、双軌制は金儲けになる裁定取引をも生み出して、誤った資源配分の原因となっただけではなく、経済改革に対する社会の怒りと国民の反発を招いた。

 企業は企業レベルでの価格の歪みに加えて、マクロレベルでの歪みにも直面した。これらの要素があいまって、とくに国有企業のために市場原理が損なわれたせいで、価格環境の混乱が生じた。

 1980年代、中央政府は省からの税の上納に請負制を適用した。財政を引き締め、地方政府にインセンティブを与えるために、80年から導入された制度だ。請負制にもとづく税制では、各省の税負担は北京と個別に交渉された。それで地域ごとに税負担が異なるようになって、経営請負責任制と双軌制から生じていた価格環境の混乱がいっそう深まった。

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松﨑 曉 良品計画社長