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安くても欲しいものがないスーパー

顧客視点を忘れていませんか

2013年3月13日(水)

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 思ったよりも見切りが早かった。

 「大丸」「松坂屋」を運営するJ.フロントリテイリングが、4月1日付で傘下の食品スーパー「大丸ピーコック」を展開するピーコックストアの株式をイオンに譲渡することを決めた。ピーコックストアは販売不振が続き、業績が低迷。スーパー同士の値下げ競争や、生鮮品や総菜を強化するコンビニエンスストアとの顧客の奪い合いなどが響いている。

 昨年11月に取材した際、Jフロントの奥田務会長は「ピーコックは自主再建が基本。東京などの都心にある店舗は利益が出ており、郊外の不採算店を減らして2014年2月期に黒字化させたい」と意欲を見せていた。一転して売却を決めたのは、大丸ピーコックの販売不振が想定以上に深刻で、グループ全体の業績の足を引っ張っていたことが鮮明になったからだ。

 実は都内にある私の自宅マンションから一番近いスーパーは大丸ピーコック。歩いて5分の距離にある。自分で料理をすることもあり、オープン以来6年にわたって利用しているが、足を運ぶ頻度は減っている。改めて理由を考えてみた。

 正直言って、欲しいと思える商品が少ないのだ。値段はと言うと、肉、野菜、牛乳、卵、加工食品などは近くの競合スーパーとあまり変わらない。以前はやや高かったが、最近は安い商品も増えており、価格にあまり不満はない。

 それでも自分が「おいしいからぜひ買いたい」と感じられる魅力的な商品は、残念ながらあまりない。例えば、ミートソースのパスタなどにかける「パルメザンチーズ」。一番目立つ場所に置かれているのはアルゼンチン産だ。安くて量は多いのだが、イタリア産と比べると味は見劣りする。肉でも魚でも、ちょっと値段が高くても質の高い商品をもっと置いてほしいと思うことが多い。このため、家から遠くても、欲しい商品がある別のスーパーや専門店で買い物をする機会が増えていた。

販売が苦戦する大丸ピーコックの店舗(東京都港区)

 スーパーは先を争って値下げを打ち出しており、「消費者は安いものを求めている」と多くの企業は信じているようだ。大丸ピーコックも同じで、最近になって低価格商品の品揃えを大幅に増やしていた。

 百貨店系スーパーが弱い安価なPB(プライベートブランド)商品を、岐阜県に本社を置くスーパーのバローから調達。500ミリリットルで58円のペットボトルのお茶や88円のカップ麺など激安商品が代表選手だ。確かに安いが、味や品質面で商品としての魅力はあまり感じられない。

 大丸ピーコックの店舗が多い首都圏の都心に近いエリアでは、食にこだわりが強い消費者が明らかに多い。だから価格以外の魅力が少ない商品が増えていくのは、顧客の要望とミスマッチを起こしているような気がして仕方がなかった。

 安くても質が伴わないとがっかりする。最近、あるスーパーでそんな経験をした。2月上旬の週末、家族で食べるお鍋の材料を買うために野菜売り場を訪れたところ、一番目立つ場所で128円の白菜を見つけた。だが、20個ほど並んだ白菜の大半で葉っぱの一部が茶色く変色している。献立を変えたくなかったので、1つずつ手に取って比べて、状態が良さそうなものを選んで買ったが、残念な気持ちになった。

 「安くしたら、きっと販売は伸びるはずだ」。そんな先入観に捉われて、顧客が何を求めているのか十分に理解していない企業が少なくないように思う。大丸ピーコックに限らず、スーパー業界では販売が苦戦する企業が多い。

 総合スーパー(GMS)ではイオン、イトーヨーカ堂、ユニー、ダイエーなどで足元までの既存店売上高のマイナスが目立つ。食品スーパーもいなげや、マルエツなどがさえない。多数の品目で値下げを打ち出しても、「販売は伸びず、消費者にはあまり響かない」とある総合スーパーの役員は嘆く。

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「安くても欲しいものがないスーパー」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス記者

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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