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権利の線引きと移行が一度に行われて迅速に市場経済へ

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(6)

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2013年3月12日(火)

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 中国経済は1990年代以降、市場転換を桁はずれに加速させる。毛沢東以来の非集権化された政治構造と経済におけるし烈な地域間競争がその背景にあった。伝統的な経済学の理解では、国家は所有権の線引きをしたあとは経済から手を引く。しかし、中国では地方政府同士が個別企業のように激しい競争を展開していった。
 『中国共産党と資本主義』の本節では、マーシャルの「内部経済」の損失が「外部経済」によって補完されるプロセスとして中国の市場転換のユニークさを捉えている。

 1990年代になって国内共通市場が構築され、国有企業が民営化されたあと、地域間競争が復活した。80年代には地方の保護主義やさまざまな国内取引の障害により事実上、国内経済は分裂状態にあった。経済は非集権化したが、地域間競争は抑制されていた。

 90年代に国有企業がますます財政負担になるにしたがい、地方政府はイデオロギーにこだわらず私有セクターに接近した。ほどなく地方経済の基盤として認めることになった。地方財政の視点からいえば、94年税制改革後には増殖税と地代とが地方政府の主な収入源となった。どちらも明らかに地方経済の成長と結びついていた。

 同時に、国内共同市場の発達によって、地方間競争はいまや厳しい市場原理に支配されていた。90年代以降の地方間競争は、経済改革の最大の牽引力となっていく。

 非集権化した政治構造と経済の熾烈な地域間競争との強固な結びつきは、大いに注目されてきた。地方政府の役職は、地方の経済実績をもとに結局のところ北京が任命するため、地方政府は自らの管轄区である省、市、県、郷、鎮を会社のように運営する。

 政府が演じる積極的な役割は企業幹部のそれに似ている。また政府はいまだに国家独占部門へのアクセスのほか、銀行貸付など多くの重要な経済資源を掌握している。中国政府が経済改革の決定力として、しかるべく重視されてきたのも当然のことだ。

市場の規律に従っていた郷鎮企業

 台頭する市場経済で国家の優越が続いたのは、中国経済改革の独特の性質の産物だった。前章まで(※『中国共産党と資本主義』の5章まで)に詳述したとおり、この改革は青写真に沿ったものでなく、草の根の策と国家主導の政策実験との組み合わせで進められた。市場経済の発展は、一部の所有権の経済学者が示した道をたどりはしなかった。

しかし中国の市場転換の経験が、市場経済運営の法的基盤としての所有権の保証と明確な定義に疑義を呈しているわけではない。郷鎮企業の成功は私的所有権の重要性を否定するものではなかった。郷鎮企業の多くは実際には私有だったからだ。地方政府所有の郷鎮企業でも、国有企業と比べれば、所有構造はより明確だった。しかし本当に重要なのは、郷鎮企業は市場の規律に従っていたが、国有企業はそうでなかったことだ。郷鎮企業の所有構造に注目したのはむしろ誤りだった。

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