• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

賃金を抑えても雇用は確保できなかった

経営者はキャッシュ信仰を捨てよ

  • 根津 利三郎

バックナンバー

2013年3月14日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 デフレ克服のためには賃金の上昇が不可欠だ。ただし、両者の関係は一方が他方の原因となるような直線的な関係ではない。デフレ→製品価格の低下→円高→企業収益の悪化→賃金切り下げ→売り上げ不振→さらなる製品価格引き下げ→デフレ、と、いくつかの要素がお互いに原因、結果になりながら、悪循環を繰り返している。これをどこかで断ち切る必要がある。リーマンショック後の為替介入、あるいは定額給付金やエコカー減税、エコ・ポイントなどはいずれもこの悪循環を断ち切るための試みであったが、結果的には失敗であった。

 アベノミクスにより、日本経済は円高というくびきから解放されつつあり、輸出企業を中心に企業収益が急速に改善する見通しだ。デフレスパイラルを根絶する機会到来だ。次は賃金を上げることで、勤労者を中心に購買力を引き上げ、デフレ克服を確かなものにしていく、という段階に進む必要がある。安倍晋三首相の賃上げ要請もこのような考えに基づいてのことだと思うが、依然として賃金を上げることには経営者を中心に慎重論が強い。そのうち、いくつかを拾ってみると次のようになる。いずれも疑問を持たざるを得ない。

まずは企業の収益を改善することが先?

 第1は、「まず収益の改善を図る、賃上げはそのあとだ」というものだ。だが、どこまで収益状況が良くなれば賃金拡大が始まるのか、説明されたことはない。第1次安倍内閣の時は、6年間収益改善が続いたのに、賃金が下落し、デフレも止まらなかった。この繰り返しになる恐れが大だ。

 確かに日本企業の収益率は低い。しかしそれは戦後一貫して続いている問題で、今に始まったことではない。逆に自己資本比率や流動比率などの経営指標を見る限り、日本企業の安全性は米国やドイツ企業と比べてまったく劣らない。一例として第1図に日本企業の流動性比率のグラフを示す。2003年頃から企業の安全性が急上昇していることが見て取れる。

第1図:日本企業の流動性比率(単位:%)
出所:法人企業統計調査 時系列データ

 上場企業のほぼ半分は現在、事実上の無借金経営であり、財務的に行き詰まることは考えられない。銀行からの融資も低利で調達できる状況だ。「まずは会社を元気にしてから」と言うのならば、若手を中心に給料を上げるのが会社を元気にする最良の方法ではないか。

 これに関連して、2010年度の経済財政白書に面白い分析が出ている。それによれば、経済が拡大局面に入って企業収益が改善すると、外国企業は直ちに従業員報酬を引き上げるのに対して、日本企業は3年たってもまだ給与は減額のままである。日本の好況は平均して3年程度の期間なので、これでは賃金が上昇に転じる前に景気は後退局面に入ってしまい、永久に賃金は上がらない。

コメント0

「リフレと賃金の経済学~求められる4%の賃上げ」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人は何か自信を持って誇れるものを持っているはずです。

為末 大 元プロ陸上選手