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アベノミクスはまだ「発展途上」

2013年3月15日(金)

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 若者言葉を集めた「辞書に載らない日本語」(大修館書店)をめくって、こんな言葉があるのを知った。

 小袈裟(ちいげさ)。深刻な出来事をささいなことであるかのように語ることだそうな。

 大方は、ささいな出来事を深刻なことのように語るのが大袈裟だから、その逆で…というわけだろう。だが、それこそ「深刻に」考えれば、一見、対極にあるような両者の違いは案外はっきりしない。

 例えば今、20年ぶりの日本復活の妙手かと世界の注目を集めるアベノミクス。株価は2008年9月のリーマン・ショック直前を超え、円安も進んで企業業績は上方修正へ大きく傾くが、アベノミクスそれ自体を懸念する声もまた根強くある。

実は分かりにくいアベノミクスの像

 「金利の上昇に歯止めがきかなくなる」「積極的な財政出動で、政府債務が発散的に増大する」「結果、ハイパーインフレと円安が同時発生しかねない」…といったもので、財政再建・均衡派の学者、シンクタンクに多い。

 この立場から見れば、アベノミクス推進派は、これほど深刻なリスクを、「ささいなこと」とは言わないまでも小さく考え過ぎているというわけだろう。つまり小袈裟である。

 だが、推進・賛成の側からすれば「(敗戦後の混乱期などを除けば)金融緩和でハイパーインフレが起きたことはない」「金利上昇で政府の利払い負担が増大しても、日本の場合その同額が国民の資産になる」「需要不足の際の財政出動は必要。重要なのは投資対象の選別」などとなる。こちらは結局、金融緩和や財政出動のリスクを大袈裟に言い過ぎと言いたいようだ。

 しかし、両者を並べて気付くとおり、交わることのない2つの言説の遠さが、アベノミクスの実像を国民に分かりにくくする。当面、株価が上がり、円安は企業業績を押し上げていいことずくめだが、この落差を見せつけられる分、国民の心の中には「いずれどこかで財政危機に陥るのではないか」「金利だけ上がって、景気は良くならず、生活が苦しくなるのでは」といった一抹の不安が残り続ける。

 (1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略…と表の言葉は分かりやすいが、先行きを含めた政策の可能性は、実は誰にも見通せていないのだろう。

 そこに伺えるのは、アベノミクスは政策的にまだ練り上げていかなければいけない要素を多分に含んでいるということだ。

 例えば、懸念派が指摘する「日銀の超緩和は、(市場を通じて国債を買い入れることで)事実上、日銀による政府への財政ファイナンスに近くなる。さらにそれは政府の財政出動をしやすくすることで一段と財政を悪化させかねない」(BNPパリバ証券のシニアエコノミスト、白石洋氏)という不安は否定できない。

 「既に名目GDP(国内総生産)の2倍を超えている債務がさらに増え、そこに超金融緩和などで金利が上昇すれば利払い費が急増し、社会保障費、地方交付税など政策的経費の確保が困難になりかねない」(日本総合研究所主任研究員、河村小百合氏)との指摘も簡単には否定できない。

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「アベノミクスはまだ「発展途上」」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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