• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

資本主義と共存する中国共産党の謎

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(7)

  • ロナルド・コース

  • 王 寧

バックナンバー

2013年3月14日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 中国共産党は、中国の政治権力を独占する唯一の政党である。中国型資本主義は西側の資本主義とは異質であり、対立するものと考えられてきたのは、市場経済化によっても共産党が存続したからだ。
 『中国共産党と資本主義』の本節は、資本主義と共存している中国共産党という存在の謎を解き明かす

 今日、中国共産党はこの国の唯一の政党でありつづけている。過去30数年間に多くの観測筋や解説者が、中国はいずれ西洋型の資本主義へ向かうだろうと期待を寄せた。その過程で中国共産党は、市場改革が進展するにつれ重要性を失うか、共産主義とともに廃れるか、民主化を受け入れて台湾や韓国と同じ道を歩むだろうと見られた。

 しかし今日、中国共産党に、その一党支配体制を改める用意があるとの兆しは見当たらない。その割合を高めている私企業家や大学卒業者も含めて、あらゆる職業の8000万人以上の党員(2011年末現在)をかかえる党は、かつてないほど強大に見える。共産党が存続して、中国型の資本主義はますます異質で好戦的な勢力、西洋の資本主義を打倒しないまでも、これと対立する勢力に見える。

経済の自由化と共産党支配の継続とのややこしい協調関係

 中国における共産党の存続は、経済改革の最も顕著な特徴に違いないが、それは多くの人に改革の始めから終わりまで、中国の党国家としての一見誤りのない役割に目を向けさせた。旧ソ連圏のように、これまでの与党・共産党が次々に崩壊して、市場主導の改革への道が拓かれた移行経済(トランジション・エコノミー)とは違って、中国は共産党と市場経済がともに繁栄できるように見える唯一の例として際立っている。

 この経済の自由化と共産党支配の継続とのややこしい協調関係は、中国の市場転換の驚異的な記録を理解する手がかりとして一般に認められている。広く流布している単純化された説によると、市場改革のうらやましい実績は主として中国の全権を有する共産党の一党独裁国家のおかげである。

 中国の経済モデルは、政府と党の担う役割を強調して「権威主義的資本主義」とか「国家主導資本主義」と呼ばれている。中国経済にはびこる国と特殊利益団体の腐敗した関係、批判者が「縁故資本主義」とか「権貴 (クアングイ=パワーエリート )」資本主義などと呼ぶものさえ、中国の経済改革の国家中心の見方が正しいと立証しているかに見える。

 中国がどのように資本主義化したかについて本書の説明をここまで辿ってきた読者が、中国の経済改革を共産党の自己宣伝と見なす国家統制主義的な解釈をはねつけるのは当然である。中国指導部でさえも、とくに1980年代にはこの改革を「石を探りながら川を渡る」試みと評していた。

 政府は何度となく不意を打たれた。飢えた農民が私営農業と郷鎮企業の優越を証明したとき、元失業者の都市住民が「鉄の飯碗」をもつ国有企業の従業員より高収入になったとき、小さな漁村だった深センがたちまち中国南部の都心、資本主義の中心へと変貌したとき、不意を打たれた。国有企業の再生を何度試みても果たせず、何百万という労働者を解雇せざるをえなかったとき、指導者は失望し困惑してもいた。中国の新興経済大国への転換は、断じて全知全能の政府の周到かつ持続的な設計がもたらしたものではない。

 中国共産党の存続とその政治権力の独占は、2つの重要な変化を隠してしまった。1つ目は、中国経済における国家の重要性がどんな基準に照らしても、徐々に弱まってきたことだ。経済改革以前、中国人民にほとんど経済的自由はなく、国家が経済のあらゆる面を、製造から小売、はては消費までを統制していた。

 今日では、私企業活動が中国経済の第一の推進力である。経済に占める国有セクターの規模は、非国有セクターと比べて大幅に縮小した。多くの国際比較研究では、それでも国有セクターはかなり大きいため、中国経済を国家主導資本主義と特徴づけてきた。

 しかし改革の過去数十年間に、国家が中国経済から徐々に手を引いていったことは否定しがたい事実である。たとえ国家が中国経済の台頭に貢献したように見えたとしても、中国の市場改革が成功したのは、政治指導力があまねく存在したからとか、強力だったからというより、政府が徐々に経済から離れていったからにほかならない。

コメント0

「103歳のノーベル賞学者の 中国資本主義論」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員