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シェア争いを捨てて「僕らが狩りに出る理由」

チェーンNo.1店の秘密は「円の外に出る」こと。

2013年3月21日(木)

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 こんにちは。「バンドマン社長」河野です。

 前回までの2回は、「『前年比』に囚われると会社がダメになる」という話をしました。右肩上がり幻想に基づいた「前年比」は時代遅れだし、そもそも「数字」を目標にするのは金の卵を殺す選択をしがちで、中長期で考えれば害悪だ、と。

 さて、今回は「前年比」と同じくらい、僕が嫌いな言葉についてお話します。

 それは「シェア」。「市場占有率」です。

 うーん、前年比とシェアがキライな社長、というと、「なんて楽な会社なんだ」と思うかもしれません。甘いヤツだとお考になる方もいるでしょう。「そんな会社で働いてみたいもんだよ」とか。

河野 章宏(こうの・あきひろ)
1974年生まれ。岡山県倉敷市出身。20代はミュージシャンをやりながらフリーター時代を過ごし、2004年に自主レーベル「残響レコード」を立ち上げる。10万円の資金からスタートし、2010年の決算ではグループ年商5億を売り上げる。ロックバンド「te'」のギタリストとしても活躍中。著書に『音楽ビジネス革命』(ヤマハミュージックメディア)。

 実際は全然違います。

 実は、「前年比」も「シェア」も、目標とするには簡単すぎる、頭より力任せで達成したくなる目標なんです。

 だから、その期は良くても後になると、前年比とシェアのためにやった無理が、害悪に変わるんです。

 順序立てて話しますね。

 音楽業界では数カ月前に、大手レコード会社間のシェア逆転劇が報じられました(注:オリコンの「年間マーケットレポート」によると、エイベックスがソニーを抜き、4年ぶりにシェア1位に返り咲いた)。でも、CDなど音楽ソフトの販売状況は、なおも非常にお寒い状況です。そこで、アーティストや事務所は収入の軸足をCDから興行へと移してきました。ここまでは、残響もその例外ではありません。

 事実、ここ数年、コンサートやフェスの興行数は増え続けています。しかし、業界全体で見ると動員が伸びていない。

縮む市場の中で、ライブのお客さんを奪い合う音楽業界

 どういうことかといえば、ライブで儲かっているように見えても、会場に足を運ぶお客さんの総数は、ほとんど増えていないんです。だから、興行1本あたりの動員数が落ちる。

 考えてみれば当たり前の話で、興行の数が増えた分だけ、1人のお客さんがチケットを買う予算が増えるわけじゃない。パイの大きさはほとんど変わっていません。それを、イベンターやプロダクションが必死に奪い合っているのが現状です。

 ある興行主が動員を増やせば、影にはお客さんを失った興行主がいる。僕が一緒に仕事をしているイベンターのスタッフは「ライブの本数が多すぎる。もっと絞らないといけない」と危機感を露わにしています。

 こんな業界内でのシェア争いほど、無意味なものはないと僕は思っています。だって市場が縮んだら、シェアトップを続けていても、売り上げは落ちていく可能性がありますよね? つまり「シェア」という数字に縛られてしまうと、現場は「ゼロサム」の発想しかできなくなるんです。ついでに言えば、現場感覚の薄い経営者ほどシェアの話が大好きだったりします(笑)。

 上司からの、「少しでも多くシェアを獲れ!」という、号令。それ自体は間違っていませんが、マーケット全体が大きくならない限り、シェア争いは底の見えない消耗戦でしかありません。

 それでも、「シェアを増やす」という考え方に飛びついてしまうのはなぜか。連載をお読みの方はもうお分かりですよね。同じ業界の中で他社が既に持っている縄張り(=お客さん)をかすめ取るほうが「楽」だからです。これまた広い意味では「他人のおこぼれ」と言えるでしょう。

コメント2件コメント/レビュー

「円の外」と聞いて、ドルとかユーロとかバーツとかを思い浮かべてしまった私でした・・・(冷汗)(2013/03/21)

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「シェア争いを捨てて「僕らが狩りに出る理由」」の著者

河野 章宏

河野 章宏(こうの・あきひろ)

残響レコード社長、ギタリスト

1974年生まれ。岡山県倉敷市出身。2004年に自主レーベル「残響レコード」を10万円の資金で立ち上げ、2010年の決算ではグループ年商5億を売り上げる。「te'」のギタリストとしても活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「円の外」と聞いて、ドルとかユーロとかバーツとかを思い浮かべてしまった私でした・・・(冷汗)(2013/03/21)

非常に興味深いお話でした。音楽に限らず映像(テレビ、映画、アニメ)関係も似たような状況に陥っているように思います。少ないパイの奪い合いの繰り返しという点で。とりわけ家電業界について、電気屋さんの店頭に並べているだけでは売れないのに何をやらんとしているのか?と問いたくなります。潜在的な顧客が全て電気屋さんに自ら出向いてくれるなんていう、ある意味間の抜けた幻想・思い込みに陥っているように思います。(2013/03/21)

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