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温家宝の愛読書はアダム・スミス

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(9)

  • ロナルド・コース

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2013年3月18日(月)

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 中国の経済発展の裏面は、深刻な社会問題となっている経済格差の拡大、経済的不平等である。その中国で経済学の父アダム・スミスの本が広範に読まれている。『国富論』ではなく、『道徳感情論』だ。温家宝の愛読書としても有名だ。
 『中国共産党と資本主義』の本節で、コースは中国社会における道徳、正義のあり方を考察する。

 市場経済は制度的空白状態では機能しない。価格制度が、その下で機能する広義の制度的背景と分けて吟味されるとき、国家、法律、社会規範、道徳律といったすべての非市場的制度は外にあると考えられ、市場の機能から切り離されてしまう。だがこれはとんでもない誤りだ。

 経済学者は、たいていの経済現象は社会学者が「社会的事実」と呼ぶもの、つまり自然的・物理的事実とも心理学的データとも異なるものである、そのことを忘れるよう訓練されてきた。契約、通貨、所有権は社会的構成だ。社会現象が自然または心理現象とは異なる顕著な特徴は、ハイエクが何十年も前に指摘したとおり「人々がそうと思うもの」であるということだ。一つの社会で一つの時代に社会的事実として通用していること、たとえば取引先には誠実に対応するとか、ビジネスの契約はたいがい尊重されるといったことは、別の社会の別の時代にはそうでないかもしれない。

『国富論』『道徳感情論』ともに重視されている

 この点で、中国の市場経済の長期の見通しに対する私たちの自信は、中国のもう一つの発展によりいっそう強化されている。中国の経済成長や市場制度の出現ほど目立たないが、この国の市場経済の未来にとって同じくらい重要な発展である。2004年、新版の中国語訳『国富論』が刊行された。初版は厳復(1854~1921年)による翻訳で、1902年に上梓され、第2版は1930年に出版(72年に改訂)されていた。

 この最新の中国語版の序文で新訳版が必要な理由を訳者がこう説明した。「中国はいまや市場経済に復帰した。市場経済には相応の経済理論が求められる。そしてスミスの『国富論』は市場経済の理論的基礎である」。市場経済をふたたび受け入れてからは、庶民も『国富論』に触れる必要に迫られたが、最初の二つの翻訳版は現代の読者にはあまりに時代後れで専門的すぎた。

 これは非常に興味深いので指摘するが、近年の『国富論』の訳者は現代経済学者の『道徳感情論』に対する不当な評価を嘆いている。これはアダム・スミスに対する偏った理解と、もっと悪いことに、とても貧弱な経済学のせいだ。中国ではスミスは『国富論』と『道徳感情論』がともに読まれ、重視されている。

 2009年2月2日、『フィナンシャル・タイムズ』紙ライオネル・バーバー編集長のインタビューで、中国の温家宝首相はこう述べた。「私たちが望むのは平等で公平な社会、国民が自由で平等な環境で多方面の発展をなしとげられる社会です。これは私がアダム・スミスの『道徳感情論』を愛読している理由でもあります」。中国の政治・経済改革の将来について問われると、温は以下のように答えた。

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