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中国経済の深刻な欠陥とは

『中国共産党と資本主義』第6章を読む(10)

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2013年3月19日(火)

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 中国的特色をもつ資本主義は、急激な発展とともに、その構造的欠陥も顕著になってきた。世界経済の覇権国であった19世紀のイギリス、20世紀のアメリカは、生産性とイノベーションで傑出し、新しい産業を生み出した。それに引き換え、「世界の工場」中国の内実はお粗末だ。
 致命的なのは、アイデアを創造し、広め、消費する「アイデア自由市場」が育っていないことだ。共産党による厳しい思想統制と国家の監視が変わらないからだ。
 『中国共産党と資本主義』の本節は、財・サービス市場の発展とは裏腹に、依然として抑圧されている「アイデア市場」問題に言及する。

 中国がいかにして資本主義になったのかは途方もない話である。30年前に中国が資本主義化すると正しく予想したスティーヴン・チュンでも、この国の市場転換がこれほど急速に起こるとは思いもしなかった。中国指導者も国内外の経済学者も、辺境革命がこの国に迅速に市場の力を復帰させたときには不意を打たれた。

 1970年代末に中国を資本主義へと傾けた経済力が、この30年で強大になっている。経済的な不平等が生じたにもかかわらず国内に経済的利益が広く行きわたった。経済的な自由と私的企業活動は、まだ残っている国家独占に制約されながらも、全国で栄えている。近い将来には中国は市場経済の実験を継続していくだろう。商業と私的企業活動の豊かで長きにわたる伝統を利して、中国的特色をもつ資本主義は、わが道を行きつづけることだろう。

 しかし、中国的特徴をもつ資本主義とはいったい何なのか。言い換えると、中国はその驚異的な市場転換のあとで、どのような資本主義に行きつくのか。解説者のほとんどは中国政府の見える手と、依然として残る中国共産党の独占力を際立った特徴として中心的に扱ってきた。これらはたしかに重要ではあるが、中国の資本主義を理解するためのカギを握ってはいない。

世界最大の経済で生産性が最高にならないことに

 世界銀行によれば、破壊的な不景気のさなか(2010年データ)のアメリカのGDP(国内総生産)は14・58兆米ドルだった。これに比べて中国のGDPは5・88兆米ドルである。中国の人口はアメリカの4倍(13・4億人と3・12億人)だから、中国はまだ1人あたりGDP(4260ドルと4万7140ドル)と労働生産性ではるかに後れをとっている。

 おおかたの予想どおりに21世紀の半ばに中国が世界最大の経済となっても、中国は開発力を大幅に向上させないかぎり、生産性の面では二等国のままになるだろう。これは現代の人類史に空前の例を示すことになる。すなわち世界最大の経済で、生産性が最高にならないという例だ。

 中国経済の同じ構造的欠陥が別の形で、海外の識者にもっと目立つように表われている。今日「メイド・イン・チャイナ」の商品は、ウォルマートのような安売りチェーン店でも、高級小売店やデパートでもすぐ見つけられる。靴や衣服から家具や電気製品まで、中国の製造部門はほぼあらゆるタイプの消費財を生産している。中国の輸出品の急速な質の向上で、「中国価格」の幅広い消費財が手に入る世界の消費者は、明らかに利益を得た。

 ところが、ほとんどのアメリカの消費者は、家には中国製品があふれ返っているというのに、中国のブランドを挙げろと言われると困惑する。

コメント5件コメント/レビュー

独自性ある商品など、21世紀に必要だろうか。スマホだって、原型は20世紀末にあり、ジョブスが洗練させて広まっただけともいえ、今やアップルからサムソンへ主導権は移りつつあるが、それとていつまで続くか。先進国の99%はかつてより貧しくなって、高価なものは買えない途上国の99%は、昔よりは豊かになってもかつての先進国の中間層には到底追いつかない。ゆえに、今までと同じかちょっと劣るものをすごく安くが求められるようになり、独自性にコストをかけない国が勝利するのではなかろうか。もちろん、中国は様々な非効率があり、それゆえに負ける可能性も高い。(2013/03/21)

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いただいたコメント

独自性ある商品など、21世紀に必要だろうか。スマホだって、原型は20世紀末にあり、ジョブスが洗練させて広まっただけともいえ、今やアップルからサムソンへ主導権は移りつつあるが、それとていつまで続くか。先進国の99%はかつてより貧しくなって、高価なものは買えない途上国の99%は、昔よりは豊かになってもかつての先進国の中間層には到底追いつかない。ゆえに、今までと同じかちょっと劣るものをすごく安くが求められるようになり、独自性にコストをかけない国が勝利するのではなかろうか。もちろん、中国は様々な非効率があり、それゆえに負ける可能性も高い。(2013/03/21)

20年~40年ほど前の日本がほとんど同じ事を言われていた様な気がします。逆を言えば中国はいびつ故にまだまだ成長の余地を残すとも言えるでしょう。少なくともあと20年は、中国は世界に君臨する可能性があると言う事と受け取りました。(2013/03/19)

 表現は不適切かもしれないが、今の中国はアメリカと戦争に入る直前の軍国主義一辺倒だった時代の日本に似ていると思う。 異端者を受け入れるだけの寛容性のない社会では、画期的な発明など産まれようもないだろうし、異端の才能を体を張って守る上司がいなければ、才能のある人材も芽の内に摘まれてしまう。 成長ステージ初期なら今の中国のような集団体制でも構わないが、この状態を放置すれば中所得国の罠に陥る可能性が高いのではなかろうか。(2013/03/19)

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