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2%のインフレ目標達成には4%の賃上げが必要だ

賃金は「生産性上昇+予想されるインフレ率」で決めるべき

  • 根津 利三郎

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2013年3月21日(木)

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 安倍内閣の下で、賃金が上がらないとデフレは解消できない、というコンセンサスが出来上がりつつある。日銀に2%のインフレ・ターゲットを求め、その実現を確実なものにするため、経済財政諮問会議などの場で進捗をチェックするとしている。これを実現するためにはどの程度の賃金上昇が必要か。

 自公連立政権は「名目成長率3%以上の経済成長を目指す」と公約している。なので、これを3.5%の成長率として、労働分配率を不変とすれば、物価を押し上げるけん引役となる民間消費支出の源泉となる雇用者所得も年率3.5%の伸びが必要になる。

 2%の物価上昇を実現するためには、実はそれだけでは足りない。日本の生産労働者数は毎年0.5%ずつ減っていくから、1人当たりの賃金は毎年4%(3.5%+0.5%)上がらなくてはならない。先進国の賃金上昇率もおおむね3~4%だ。日本の賃金総額は245兆円だから、これは10兆円に相当する。

 そもそもなぜインフレ目標値は2%なのか。それはほかの先進国がおおむね2%を目標としているからだ。だとすれば賃金についてもほかの先進国並みの上昇率としないと議論の辻褄が合わない。

 毎年10兆円の賃金の負担増は、デフレを収束させるため、製品価格に転嫁されることが望ましい。賃上げにより消費者の購買力が上がれば、転嫁も容易になるであろう。賃金増が価格に転嫁されるまでには時間がかかるかもしれず、一時的に企業の負担が発生するかもしれない。しかし円安による収益の改善が見込めるので、この程度の負担は決して過大とは考えられない。

 日本の需給ギャップは昨年末の時点でGDPの2.7%、13兆円程度であった。10兆円の賃金増が消費に回れば需給ギャップは相当縮小する。設備投資や輸出の増加が加われば、需給全体が締まり、自律的な物価上昇と雇用増加が可能になる。

春闘に代わる賃金決定メカニズムが求められる

 2004年1月、経団連会長であった奥田碩氏は「春闘は死語になった」と言ったという。だが、賃金水準が先進国中で下位になり、労働分配率も他の先進国並みに下がった今、雇用者所得の安定的拡大は経済成長にとって不可欠の要素になりつつある。

 これを実現するためには賃金や労働条件を交渉するための新たな「場」が必要だ。我が国の労働組合は基本的に企業別組合であり、会社の維持、存続が最大眼目になっている。こうした背景の下、労働者の賃金は企業収益に見合った賃金になっていない。

 一方ヨーロッパ諸国の場合、労働者は産業別、職種別に組織化されており、組織率も6~7割と我が国より大幅に高い。ドイツの場合、監査役会に労働組合や従業員の代表が入っており、賃金も含め企業経営全般を監視している。ユーロ危機以降、他の欧州諸国との競争力格差を縮小するため、賃上げを加速している。

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