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依って件(くだん)の地獄行き

2013年4月4日(木)

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 毎年、三月末の春休みの時期には帰省する。

 自由業者だから,ほんとうは休日にこだわる必要はないのだが、子供の学校の関係でなんだかんだと帰れる日は限られてきた。いまはもう子供も成人していて同行はしなくなったが、なんとなく長年の習い性で桜の時期には九州にいたくなるのだった。

 ところが、今年は異様に早い開花で、三月半ばの東京にいるうちに、既に満開の桜を見るはめになった。はめになったというのも変だが、花見それ自体が目的の会には参加できなかったものの、それぞれ別用で出かけた中目黒と上野で、道すがら、めいっぱい開ききっている桜並木を眺めることができた。

 目黒川も上野も、花見の宴はエスニック・パーティの様相を漂わせていた。といっても両者でそれぞれ微妙に地域は違うのだけど、屋台1つ取っても外国の料理が並んでいて、東京という所はほんとうに何でもあるな、と思わせた。あと、両者とも西郷さんとゆかりのある地なのが興味深い。

 そんなわけで、月末の九州帰省では桜にはもう間に合わないと思っていたが、あにはからんや、ここ大分は別府の桜はまだ満開をたもっていた。

 ちょっと待て、お前の田舎は、あの半笑いで目の虚ろな例のクマのいる所ではなかったか……と、出身地マニアの皆さんの声が聞こえてきそうだ。

 そのとおり、私の田舎は阿蘇と九重(くじゅう)の連山を挟んだ西隣の県だ。

 いつもは直行で帰熊(きゆう)するのだが、今回、趣向を変えて別府経由で帰ることにしたのは、もちろん温泉も大きな楽しみの1つだが、数年来の懸案に気持ちのおとしまえをつけたかったからだった。

 懸案というのはクダンのことである。

 クダンは漢字で書くと「件」、牛と人間が合体した妖怪……とされている。
 以前、私がエッセイやマンガで題材にし始めたころは、まだ知る人ぞ知る怪談、という感じだったが、その後、他のマンガや小説やゲームや映画に登場する頻度はずいぶん多くなったので、当時よりはポピュラーになっていると思う。もはや詳しい解説は不要かもしれない。

 とはいえ、なぜ私がクダンに惹かれるようになったのか、ということについては(私の本を読んでる人はさほど多くないと思われるので)若干の説明が必要かもしれない。既読の読者には繰り返しになるが、お許しください。

 その前に――伝承や登場作品によって違いはあるのだが――クダンという妖怪のおおまかな属性を記しておこう。

 クダンは半人半牛の妖怪であり、多くは顔が人間、体が牛とされ、稀に牛から生まれる(牛頭人身で人から生まれる、とする都市伝説や作品もある)。人語を話し、生まれて数日で死ぬが、死ぬ直前に重大な予言をし、それは必ずあたる。そもそも歴史的凶事の前触れとして生まれる、という説もある。

 クダンが登場するもっとも有名な作品は、内田百ケン(ケンは門がまえに月)の短編でタイトルもずばり『件』というのがある。これは主人公が知らない間にクダンに生まれ変わり、予言を強要される、というシュールな話だ。

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地獄組合って…インドネシアに地熱発電所つくるのもいいけど、ここに一大地熱プラント作ればいいのに。(2013/04/04)

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「依って件(くだん)の地獄行き」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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