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「いちばんふさわしい人」はなぜ選ばれないのか

2013年4月11日(木)

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 クールジャパンの人が問題発言(?)をしたというので、4月頭のツイッターのタイムライン(TL)は少しざわついた。

 本業の関係で、当然のごとく私のTLにはマンガ業界・アニメ業界、つまりクールジャパンの当事者(とされているはず)の方々が多いのだが、くだんの発言への反応は、ほぼアンチ一色、支持者はあまり見あたらない。アンチといってもおおむね冷ややかであり、諦念が漂っている、といったほうが正しいかもしれない。

 私は、といえば「クールジャパン」と聞いてまず思いだしてしまうのは、同名の番組をNHKで担当している鴻上尚史氏の眠たそうな顔とあまりクールでない司会なので、問題意識の低いことはなはだしい。

 クールジャパン推進会議の本質的な胡散臭さについては、この発言よりも前に書かれた(さすがですね)小田嶋隆さんのコラム「ジャパンが日本を野暮にする」が的を射すぎているので、同じ媒体の連載としてこの上にさらに言葉を重ねるつもりはない。10文字でまとめれば「口は出すな、金は出せ」でいいでしょうか。

 問題意識の低いマンガ家はもう少しどうでもよいことに頭をめぐらしている。

 たとえば4月9日配信の「クールジャパン推進会議で沖縄・京都にアニメ特区検討」という記事は、ファンの間ではブーイングが起きていたが、マンガのネタとしてはいたく創作欲を刺激した。

 特区には特区に絡む犯罪が横行するはずで、当然、特区担当の管理官捜査官が活躍することになるだろう(私のマンガではだいたいそうなることに相場が決まっている)。 

 ……とか。

 それにしても、特区にしても例の発言にしても、プロ側よりは、むしろ業界の深刻な実態に理解の深いファンのほうに、熱く怒り狂ってるつぶやきや書き込みが多いように見受けられる。

「キャスティングが終わればその映画はほとんど出来上がったようなものだ」

 といった映画監督がいたが、作る側だけでなく、人は往々にして物事が始まる前にそのメンツを見て先行きを判断したり、頭を抱えたりする。

 よく俎上に載せられるのはスポーツチームのベンチスタッフだ。
 「山本、東尾、梨田でいくことになりました」
 しまった、これもジャパンではないか……たとえが悪すぎた。

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「「いちばんふさわしい人」はなぜ選ばれないのか」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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