• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

実はウラジオ艦隊の交通遮断に苦しめられた日本

2013年4月30日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

[一般のイメージ] 日本海軍は、蔚山沖海戦においてロシアのウラジオ艦隊を撃滅し、海上交通を確保することに成功した。
←蔚山沖海戦でウラジオ艦隊に決定的な打撃を与えたわけではなかった。また、日本海軍は、海上交通の保護という戦略的課題を十分に認識できなかった。

 ウラジオストック港配属のロシア艦隊(以下、「ウラジオ艦隊」という)による通商破壊作戦は、戦略的視点に基づき周到に計画されたものであった。ロシア側は、開戦3年前の1901年の時点で、通商破壊を目的とする分遣隊の編制に着手している。

戦略的に実施された通商破壊作戦

 こうした任務に適するのは、高速かつ大型の装甲巡洋艦である。戦艦では速度が遅すぎ、一般の巡洋艦だと攻撃力や航続距離が不足しているからだ。その要件にかなう艦艇として、ロシア太平洋艦隊は「リューリク」を保有していた。しかし、日本の警備艦隊を突破する必要を考えると1隻では足りず、同レベルの艦艇とチームを組む必要がある。そのため、装甲巡洋艦「ロシア」と「グロモボイ」を極東に回送し、1903年6月にウラジオ艦隊を編成した。

表 両軍の装甲巡洋艦
艦名竣工年排水量最大速力武装
(ロシア)
ロシア1897年1万2100トン19ノット20センチ砲×4、15センチ砲×16
グロモボイ1900年1万2300トン20ノット20センチ砲×4、15センチ砲×16
リューリク1895年1万1900トン18ノット20センチ砲×4、15センチ砲×16
(日本)
出雲1900年9700トン20ノット20センチ砲×4、15センチ砲×14

 この3隻の装甲巡洋艦は、そもそも通商破壊作戦を念頭に置いて建造された艦船である。いずれも約1万2000トンという戦艦なみの排水量を持つにもかかわらず、日本の「出雲」と同程度に武装を抑えているのは、航続距離を延ばすために大量の石炭を積載できる構造としたからだ。

 ロシア海軍がこのように通商破壊に着目していたのは、決して不思議なことではない。そもそも欧州諸国の海軍は、通商破壊を敵艦隊の撃滅と同等、あるいはそれ以上に重要な任務としていた。例えば、英国は、16世紀にスペインに対して海賊行為を働き、新大陸からもたらされた莫大な富を奪取することで興隆した。さらに18世紀から19世紀にかけては、フランスによる対英通商破壊作戦を防ぎとめることで世界帝国を築き上げたのである。

コメント2

「常識をくつがえす戦史講座~日露戦争」のバックナンバー

一覧

「実はウラジオ艦隊の交通遮断に苦しめられた日本」の著者

樋口 晴彦

樋口 晴彦(ひぐち・はるひこ)

警察大学校教授

危機管理、リスク管理に関して広い知見を有し、特に企業不祥事の研究では第一人者。また、戦国時代、日清・日露戦争、第二次世界大戦などの戦史をマネジメントの観点から分析。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

機械を売るんじゃなくて、電気が欲しい方に電気が起きる装置をソフトも含めて売るビジネスをしていこうと。

田中 孝雄 三井造船社長