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辺境から立ち上がるEV市場

不振の突破口はベンチャーが開く

2013年4月22日(月)

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 4月2日、あるスポーツカーの販売が発表された。モデル名は「トミーカイラZZ」。日本初のチューニングカー会社、トミーカイラが1997年に発売し、200台余り販売された“幻”の国産スポーツカー。その復刻版である。

グリーンロードモータースが4月に発売したスポーツカー「トミーカイラZZ」

 当時のモデルを忠実に再現した外観とは対照的に、その中身は全く違う。電気自動車(EV)なのだ。開発したのは京都大学発のベンチャー企業、グリーンロードモータース(GLM)。オムロンや日本電産などの複数の京都企業が協力、出資しており、出資者の中には出井伸之・元ソニー会長もいる。

 小型車と同程度の全長3メートル87センチのボディーの2人乗りで、車台にアルミなどを使って極限まで軽量化し、車体は850キログラムと軽自動車並み。航続距離は120キロメートル以上と長くはないが、3.9秒で時速100キロに到達する加速性能が売りだ。

 価格は800万円と日産自動車のEV「リーフ」の倍以上。それにもかかわらず、4月2日から3週間で既に100件を超す問い合わせが入っている。生産能力の関係から初年度の販売は99台のみ。既にその目標が早期に達成されそうな反響が集まっている。ショールームの開設は4月26日で、実車を見る場所もなければ試乗することもできない。それでも、EVならではの軽快さや加速性能に惹かれ、セカンドカーなどとして購入するユーザーが多いという。当初はかつてのトミーカイラのファンを顧客層として想定していたが、実際は「トミーカイラは深く知らず、EVやレースカーなどに興味がある医師や弁護士、経営者などが多い」とGLMの小間裕康社長は話す。

車台だけの外販も

 ビジネスモデルもユニークだ。

 まず構造が普通の車、従来のEVとは大きく違う。シャーシなど土台となるプラットフォームと、外観となるボディパネル部分を完全に分離した設計となっているのだ。シャーシと動力源、足回り、内装などの下部の構造部に、蓋をするようにしてボディを組み付ける、まるでラジコンカーのような構造である。

 高い走力性能に必要な剛性や、衝突時の安全確保に必要な強度などの基本性能は、全て下部のプラットフォームで完結させている。その分、外観部分は樹脂などを多用するなどして軽量化できる。

 ボディパネル用の大型な金型やスポット溶接のロボットがなくても、ハンドメイドに近い方法で生産できるのが特徴。普及が進む3Dプリンターでオーダーメードのボディを製作し、自分だけのデザインのクルマを仕立てるということも可能だ。「トミーカイラZZ」の場合、舞鶴市にある、自衛隊向け水陸両用車を生産する中小企業の工場で生産する。

 このような特殊な構造は特許も出願済み。欧州を中心に数多くあるボディのデザインや製造を手がける「カロッツェリア」への車台のみの販売も見込む。

 小間社長はこう意気込む。「大手メーカーでは年間数万台売らなければ採算がとれないため、魅力に乏しいモデルしか出せない。一方、尖ったスポーツカーはファブレス型ベンチャーにとっては十分な市場規模。プラットフォームビジネスで多くの特徴的な車が生まれれば、水平分業型の新しい自動車産業の幕開けになる」

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「辺境から立ち上がるEV市場」の著者

熊野 信一郎

熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)

日経ビジネス記者

1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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