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中国マネーの流れは正常ではない

バランスシート・ショックは来るか

2013年5月7日(火)

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 中国から飛んできたのは、黄砂やPM2.5だけではなかったようだ。4月中旬、「1-3月期の同国経済成長率が7.7%にとどまった」とのニュースは、円安一服感でやや調整気味となっていた東京市場への逆風となり、さらに金や銀などの商品市況の急落を誘った結果、欧米市場にもリスク回避の波が打ち寄せられることになった。

 この結果、米国市場ではS&P500が年初来最大の下げを記録し、ドル円も一瞬95円台まで下落するなど、金融緩和への安堵感にすっかり浸っていた世界の市場を揺さぶったことは、その後の相場が落ち着きを取り戻したとは言うものの、記憶するに値しよう。筆者は、2007年に上海株の大幅な調整が欧米の株価を押し下げ、その後米国を主戦場とする金融危機へと向かっていった過去の映像をふと思い出してしまった。

 もっとも、2007年と2013年とを単純比較してはなるまい。今から6年前は「ゴルディロックス」と呼ばれたように、世界経済や金融市場は「熱過ぎもせず冷た過ぎもしない」という呑気な状況に置かれていたが、その水面下では欧米諸国に「異様なまでのレバレッジ」という金融事象が蔓延し、危機の出現がカウントダウンされていたのである。

 それと比べれば、現時点では株式市場や一部の信用市場にバブルの兆候が見られるものの、銀行や企業、あるいは家計などに警戒すべき「過剰なレバレッジ」は見当たらない。さすがに世界経済を恐怖のどん底に陥れた狂気の再現の可能性は小さそうに見える。

「中国のGDPは信用できない」と言った中国新首相

 ただしそれは「先進国においては」との註釈付きである。中国には、これまで欧米市場で蓄積されてきた常識的な解釈は通用しない。市場や企業が困惑しているのは、中国リスクをどう捉えてよいか、はっきりしないことである。中国の経済実態や金融市場には分からないことが多過ぎる。経済統計一つをとっても、信用できるかどうか、世界の誰一人として確答が出来ない。

 先月市場を揺さぶった7.7%成長という水準は、それほど悲観するような数字でもないように思えるが、市場は「恐らく実態はもっと悪いのではないか」という懸念を抱いたに違いない。ウィキリークスに拠れば、今般中国の新首相に就任した李克強氏ですら、2007年に「中国のGDPは信用できない。自分がデータとして活用しているのは電力消費量と鉄道貨物輸送量そして銀行融資の三つだけだ」と述べていたという。何をか言わんや、である。

 だが、他に参考資料がない中では、公表数字を信じるほかない。市場は、中国は8%台の成長が続く、あるいは7%台へ落ち込む、といった予想が乱れ飛ぶ中で、一喜一憂する日々がこれからも続くのだろう。

 だが、金融市場の視座からすれば、警戒すべきはあまり当てにならない成長率の動向よりも、地方財政と金融機関そしてノンバンクのバランスシート問題である。これは新しい問題ではない。既に、中国の地方自治体が過剰な借り入れを通じて日本の比ではないほどの「ハコモノ行政」を展開し、至る所に「ゴースト・タウン」を建設しながら潜在的な不良債権を山のように積み上げているという話は、数年前から市場では周知の事実となっている。

コメント4件コメント/レビュー

執筆者である倉都氏(こんな言及の仕方で失礼!)は、一見単に金融方面の観点から中国経済を解析されている印象を与えながら、実際にはなかなかの“中国通”であると拝察します。中国公式のデータを用いながらも実の所は、ご自身殆ど信用していない点など、巷間の自称“中国通”とは全く異なる、つまり日頃から中国の実態を研究なさっているからこそ、この様な論評が掛けるのだと推察し、感服しております。どうぞ、今後も宜しくお願い申し上げます。本当に有難うございます。(2013/05/07)

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「中国マネーの流れは正常ではない」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

執筆者である倉都氏(こんな言及の仕方で失礼!)は、一見単に金融方面の観点から中国経済を解析されている印象を与えながら、実際にはなかなかの“中国通”であると拝察します。中国公式のデータを用いながらも実の所は、ご自身殆ど信用していない点など、巷間の自称“中国通”とは全く異なる、つまり日頃から中国の実態を研究なさっているからこそ、この様な論評が掛けるのだと推察し、感服しております。どうぞ、今後も宜しくお願い申し上げます。本当に有難うございます。(2013/05/07)

ためになる記事でした。アベノミクスで投資は順風満帆な気分になっていますが、足元には爆弾が埋まってるんですよね。◆ただ、日経さんにおいては、最近正しい情報を出していただいている事は評価しますが、今まで無闇やたらに中国投資をあおってきた主犯であるという事は国民は忘れてませんよ。肝に銘じて正しい報道に励んでいただきたい。(2013/05/07)

本記事では地方政府および関連セクタの債務についてだけ触れているが、国有・軍有企業の債務を見逃すわけにはいかないだろう。現代中国では、これらは地方政府債務よりはるかに見えづらく、しかもさらに巨額である可能性がある。(三諸)(2013/05/07)

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