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JAL・ANAの共同会見構想は幻か

「787」運航再開で深まる軋轢

2013年4月24日(水)

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 早咲きの桜が満開の夜だった。「僕は必要があれば(ANAと)共同会見に臨むよ」。ボーイングによる次世代中型機「787」のテスト飛行が内定した3月下旬。JALの植木義晴社長は記者に、こう打ち明けた。「機械的な“安全”が証明されても、お客様の“安心”を得るには時間がかかる。オールジャパンで誠心誠意対応するのが筋だ」。植木社長はかみ締めるように語った。

 米連邦航空局(FAA)はバッテリーの発煙事故でストップがかかっている787型機の運航再開を4月中にも認可する方針。その内容を踏まえ国土交通省も運航を認める見通しだ。787型機はJALだけでなくANAも国際線のほか札幌、広島など国内12都市を結ぶ。

 煙を発する航空機の映像がテレビで繰り返し流れたこともあり、運航を再開したとしても、乗客の間に不安がくすぶる懸念がある。運航再開のめどが立ち次第、JAL、ANAの大手2社が共同で社長会見を開いて利用者に「空の安全」を訴える意義は大きい。植木社長はこう考えたのだろう。

 パイロット出身の植木社長は20年ほど前、自ら操縦かんを握っていた満席の成田発バンコク行きダグラス「DC-10」型機が離陸途中にエンジン故障を起こし、急きょ引き返した経験を持つ。JALは会社更生法の適用を申請した2010年1月以降も定時・安全運航に磨きをかけ、2012年9月には株式を再上場。同年1~12月の定時到着率(国内線、国際線合算)は90.35%と世界の大手29社中トップに輝いた。787型機は新生JALの象徴であり、翼には「再建に慢心しない経営」(稲盛和夫名誉会長)の責任がのしかかる。

 しかし2社のあつれきが共同会見の障害になる可能性がある。「(JALが公的整理を受けて再建したのに対し)ウチは自助努力でやってきた。スタンスの違いだよ」。ANAの伊東信一郎社長(当時=現ANAホールディングス社長)は記者に、これまで何度もこう強調している。「競争環境が不公平だ」「増配までしているのにウチの株価が低いのは大いに不満」。別のANA経営陣は常に記者にこぼしてきた。ANAはJALとの共同会見を慎重に検討しているようだ。

 無理もないことだろう。振り返れば、この1年はANAにとってJAL追撃が最大のテーマだった。民主党政権の数少ない「手柄」ともされたJAL再生。ANAは野党だった自民党に「企業間競争をゆがめている」と再三訴え、昨年末の政権交代後は、永田町・霞が関への働きかけを強めた。

 昨年秋に決まった羽田空港の国内線発着枠ではANAが優位に立ち、岩国(山口)、石垣(沖縄)などの路線を拡大することができた。昨年7月にはJALの株式再上場に先手を打つ格好で1700億円規模の大型増資を実施した。

 「We Fly First」を合言葉に、ANAには世界の航空大手で最初に787型機を導入したという自負もある。787型機はJAL追撃の急先鋒でもある。

 それでもANAの2013年3月期連結業績(会社計画)は、最終的なもうけを示す純利益が前の期比42%増の400億円。JALは13%減ながら1630億円を稼ぎ出す。法的整理の枠組みに従って航空機の帳簿価格を引き下げ、法人税も当面減免されているとはいえ、JALとの利益格差にANAはほぞをかむ思いだろう。

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「JAL・ANAの共同会見構想は幻か」の著者

清水 崇史

清水 崇史(しみず・たかし)

日経ビジネス記者

98年早稲田大学大学院修了、通信社を経て日本経済新聞社に入社。証券部で機械・プラント、海運・空運などを中心に取材。2013年4月から日経BP社に出向。総合商社、金融マーケットを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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