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解雇は「やる気」があればできること

川口大司・一橋大学経済学研究科教授に聞く

2013年4月26日(金)

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 大企業を中心に、解雇規制の緩和を求める声が高まっている。しかし、そもそも現状の規制はそんなに厳しいのか、緩めれば問題は解決するのか? 労働や賃金の問題で実証研究に取り組む川口大司・一橋大学経済学研究科教授に聞いた。(聞き手は広野彩子)

今月から改正高齢者雇用安定法が施行されました。企業は、65歳までは、雇用継続を希望する人を雇わなければいけません。定年延長は、一般的には若者の雇用の場を奪うという意見があります。

川口:定年延長そのものはした方がいいと思います。労働力率の上昇が大切ですし、65歳までの期間は年金もなくなるわけですから。基本的に賃金の上昇カーブを見直して、65歳まで定年で延ばしていくのは悪くないでしょう。

川口 大司(かわぐち・だいじ)
一橋大学大学院経済学研究科教授。1994年早稲田大学政経学部経済学科卒。2002年、米ミシガン州立大学経済学部博士。筑波大学社会工学系講師などを務めた後、現職。専門は労働経済学、応用計量経済学。賃金格差などを研究している。

 この法改正に対して、多くの会社は「再雇用」で対応しています。問題点は、基本的に1回辞めてもらい再雇用する形なので、そのための仕事をつくる必要がある点です。これがホワイトカラーだと元の上司が自分の部下になったりする可能性もあり、結構やりにくいでしょうね。

 法改正に対して再雇用は現実的な対応だと思いますが、長期的に良いかというと必ずしもそうではないと思います。たとえばNTTのように、現役世代の賃金の伸びを抑えて定年を延ばす方が望ましい気がします。現在は再雇用中心ですが、将来的には定年を延ばす会社が増えてくるのではないでしょうか。

 1980年代前半の定年は55歳でした。よく知られた研究で、55歳から60歳に定年が延びた時期、右肩上がりの賃金カーブが、延びる前よりもフラット化したことが分かっています。賃金構造基本統計調査を使って実証的に研究したものですが、今回も同じことが起こる気がしています。

つまり現役世代の賃金上昇がゆるやかになると。

川口:はい。ボーナスはここ15年ぐらいずっと下がっているんです。景気が悪いですから、業績連動で下がるのは仕方がないところもあります。しかし賃金カーブの見直しというのは、基本給に手を付ける改革ですからね。

法改正で救われる人は1~2割程度

それは、長期雇用が成り立っている大企業の話ですね。大企業では、あまり給料は上がらないけれど、ひとまず65歳まで働ける会社ということになります。

川口:そういう感じですね。先日、新聞記事を読んでいると、「今までは一部のどうしようもない人は辞めてもらえていたけれど、今回の法改正で全員再雇用しなければならなくなったので、そのための仕事を作っている」というケースが報道されていました。

「どうしようもない一部」というのは、制度の改正により救済される人ですね。案外少ないのかもしれません。

川口:確かに60歳の定年の所で救済される人の割合はそれほど高くはないかもしれません。ただし、どうしようもない人を65歳まで雇わなければいけないということが職場の士気などに与える影響は結構大きい可能性もありますよね。

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「解雇は「やる気」があればできること」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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