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世界統一マンガを読みたいか?

2013年4月25日(木)

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 4月19日、ミラノマンガフェスティバルの記者会見が、三田の駐日イタリア大使公邸にて行われた。

 大使公邸は伊予松山藩主・松平隠岐守の屋敷跡で、都内でも有数の日本庭園がある。「忠臣蔵」の赤穂浪士のうち、大石主税、堀部安兵衛、中村勘助、大高源五ら10名がこの屋敷の預かりとなり切腹した。

 ……というのはブラタモリで得た知識だ。私は持てる知識のほとんどをマンガとテレビから得ている。

 みなさまご案内の通り、もう何年も前から、日本のマンガやアニメやオタク文化(コスプレやボーカロイドなどですね)を紹介するイベントは、ヨーロッパや北米のあちこちで開かれている。

 有名なものではパリのジャパン・エキスポ、バルセロナのサロン・デル・マンガ、イタリアのルッカ・コミックス&ゲームス、ロスアンジェルスのアニメエキスポ等があり、日本のマンガ家・アニメ関係者もゲストとして、あちこちのイベントによく招かれている。私の知人にも、常連のように参加している方が何人もいる。

 現地のコスプレやアニカラの映像は、ときどきテレビの紀行系バラエティ番組でも流れたりするから、さほどそちら方面に明るくない読者の方もよくご存じだろう。というか、21世紀も干支が一回り以上したというのに、テレビではいまだに「こんなに外国で日本のマンガ・アニメ&オタク文化が!?」みたいな「!?」つきのニュアンスで紹介されることが多いが、「なにをいまさら」な感じだ。

 だいたい(これは80年代くらいからそういう認識だが)何事もテレビとかお上とかが気づいて出てくるころには……多くの場合、彼らは金の臭いを感じて上乗りしてくるのだが……既に祭りは終わっていて、物事は次のフェイズに移行しつつある。

 もともとマンガやアニメに詳しい人は、海外のユーザの数を、少ないとも思っていないし、また逆にそう過大視もしていないと思う。しかし、不案内な人達は、最初は「そんなにいるわけがない」と思い込み、先のような映像や、日本人の自尊心をくすぐるようなマンガやアニメを持ち上げる記事に接すると、今度は逆に過剰な幻想を抱きすぎる傾向があるようだ。

 「こんなに日本のマンガ・アニメ&オタク文化が!?」という盛りあがりは、一部では確かに事実であり、いまだに継続中だ。そのパワーをこの眼で見てきてもいる。が、昔も今も、地域や年齢層によっては全然そうでないことも多いし、また、出版事情も、受けいれられる作品も、国や年代によって違っていたり、差があったりする。

 おりしも先週から今週にかけて、ツイッターでは、まるで会見とこの連載にタイミングをあわせたかのように、竹熊健太郎氏の「マンガのグローバル化」に関するツイートをめぐって、マンガ家、評論家、編集者、翻訳家などの業界関係者が、侃々諤々、欣喜雀躍、ケンケンブラック魔王の議論を戦わせていた。

 その前に例のクールジャパン会議があり、以前からのTPP参加問題や、並行して話題になっていたユニクロの世界統一賃金構想の反響もあって、マンガ・アニメに興味のない人の耳目にもひっかかる騒ぎとなっていたようだ。

 竹熊氏の主張は――国内市場だけでは経済が成り立たなくなりつつある日本のマンガ業界は、その蓄積されたノウハウを武器に海外市場をもっと本気で開拓すべきなのにまるで手を講じていない。現在の勢いでマンガがグローバル化していくと、ガラパゴス的な縦書き・右綴じの日本のマンガはやがて国際競争力を失い閉塞していく。一刻も早い対応、具体的には5年以内に横書き・左綴じにする、等の改変が必要――というもの。

 おそらく竹熊氏は「運動は急進的であるべき」という確信犯で、あえてセンセーショナルかつ極端な書き方をしているとは思うが、ご本人のキャラクターもあいまって、その危機感が正確に伝わっているとはいえないのが現状だ。

 とくに「横書き・左綴じ」が発言の象徴的なキーワードとなってしまったため、実際に描く側・表現する側のマンガ家からは猛反発が起きた。

 これはあたりまえで、ことは右左を入れ替えるだけの単純な話ではないからだ。

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「世界統一マンガを読みたいか?」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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