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日本企業が新たな価値の創造にITを活用できない理由とは?

東京海上日動システムズ・横塚裕志社長と徹底対談(第1回)

2013年5月9日(木)

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 今回のシリーズでは、東京海上日動システムズの横塚裕志社長と、ITを使いこなすとは、どのようなことなのかを考えていきたいと思います。われわれは、ITの遅れによって、日本の様々な産業が遅れを招いてしまうことに危機感を抱いています。そこでまずは、日本ではあまり理解されていないITの活用法や、その背景を探ります。次に、日本のIT活用が、世界の先頭から2~3周遅れていると言われている原因を探ります。

 さらに、最近、話題に上ることが多い、ビッグデータへの取り組み方について、議論していきます。ビッグデータというと、日本では、ハードディスクやデータベースを売ることばかり、考えられている傾向が見受けられます。そうではなく、ビッグデータを使うことで、どのような価値が生まれ、どのようなサービスを実現できるのかが示されるべきです。

 ITを使いこなすにも、現在の日本は、「ITリテラシー」や「サイエンス・リテラシー」と呼ばれる、科学的な教養に乏しい社会です。この原因や解決策についても、考えていきます。

事業部門こそITに関わろう

横塚裕志氏
東京海上日動システムズ社長。1973年一橋大学商学部卒業、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。情報システム部長、執行役員IT企画部長などを経て2006年から現職を兼務。2007年東京海上日動火災保険常務取締役。2009年6月同社を退任し、現職に専念

横塚裕志(以下、横塚):ITをうまく使いこなすとは、どのようなことを指すのでしょうか。本質的には、ビジネスにおいて、イノベーションを引き起こすことでしょう。例えば、米国のIT活用で先進的な企業と日本の企業、または、韓国の企業と日本の企業などを比べた時に、使われているITそのものの技術レベルには、大きな差があるようには感じません。米国の先進的な企業といえども、日本ではお目にかかれない、驚かされるような技術を使っているわけではなく、世界的に技術面で大差はありません。

 ところが、ITの使い方の面では、大きな差を感じています。欧米や韓国では、ビジネスにイノベーションを引き起こすために使われているのに対して、日本では従来のビジネスを変えることなく、情報だけをコンピュータに載せて、効率化するための使い方にとどまっているのです。

 ITを活用して、ビジネスにイノベーションを引き起こそうとする海外の企業と、引き起こせていない日本企業の差が生じている理由は、日本企業の多くがITへの取り組みを社内のIT関連部門に任せるだけで、事業を担う部門が関わっていないからでしょう。このように、事業部門は、ITを理解しなくてよいという考え方や風潮が、日本の経営者や、事業を担う部門に多く見られるように感じています。

顧客の立場でサービスの変革を創造

横塚:また、日本の企業は事業を担う部門とITを担う部門のいずれも、ビジネスを構成しているビジネスプロセスを構想する力に乏しいように感じています。最近では顧客にとっての価値を高めていくことができない限り、自社のビジネスを成功させづらくなっています。いかに良い製品を作り出すことができたとしても、ビジネスとして成功するかどうかはわかりません。

 顧客にとっての、新たな価値を生み出すためには、顧客の立場でサービスの変革を創造していく必要があるでしょう。この例としては、携帯音楽プレーヤーがあります。

 携帯音楽プレーヤーでは、日本のメーカーから優れた音質の製品が販売されています。しかし、米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」と音楽管理・配信サービスの「iTunes」の組み合わせによるサービスに負けてしまいました。よく知られているように、iTunesの、好きな楽曲を1曲ずつダウンロードして聞くことができる仕組みによって、従来にない携帯音楽プレーヤーの価値が利用者から好評を博したからです。

 携帯音楽プレーヤーの利用者は、日本メーカーによる音質が優れた機器の価値よりも、好きな楽曲を1曲ずつダウンロードして聞く仕組みを選んだわけです。このように、顧客にとって、新たな価値を作り出すことが、ビジネスの競争軸になってきています。ここでは、新たな価値を構想する力が問われてきます。日本の企業は、こうした新たな価値を構想する力に乏しいように見受けられ、それが、従来は日本の強みだったはずの様々な分野の製品やサービスで、苦戦している原因になっていると感じています。

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「日本企業が新たな価値の創造にITを活用できない理由とは?」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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