• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

煙は左か、右からか

2013年5月2日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 左右問題がまだ尾を引いていて、こちらもずっと考えている。

 と、いきなり書いて、人は何の問題と思うだろうか。
 お雛様の位置だろうか、エスカレータの譲り通路(本当は安全上アレはしてはいけないそうです)の、関東関西における違いだろうか。
 いまどき、思想の話と思う人はあまりいないだろう。

 科学畑の人は、地球生物のアミノ酸が左型に偏っている謎や、フレミングの法則を想い出すかもしれない。

 ちなみに、フレミングの右手・左手の法則を両手同時にやっていると、人からは杉浦茂の登場人物か、芦屋小雁のように見える……という極めて重大な問題があることは確かだが、これはあまり左右問題とはいわない。

 デューク東郷なら、射程が離れれば離れるほどコリオリの力を問題にする。
 これはフランスの学者コリオリが発見した、地球のような回転座標系上で移動する物体に働く慣性の力を指し、具体的な例が台風だ。コリオリの力によって、北半球の台風は左巻きに、南半球では右巻きになる。

 私の見るところ、ゴルゴ以外はダルビッシュ有が当然問題にしているはずだ。

 昔、小松左京さんのお宅で、かんべむさしさんが「コリオリの力で北半球の巻き貝は全部左巻き、南半球は右巻きになっている」という、まことしやかな説を開陳されたことがあった。

 「では赤道直下の巻き貝はどうなっているのですか」
 「赤道直下に巻き貝は存在しません。みんなトンガリ帽子のように垂直な円錐形のカラをかぶっています」

 80年代の日本のテレビ番組のロケに登場したアーサー・C・クラークは「私の自宅があるここスリランカは、赤道直下にあるため、このボールの水もまっすぐ下へ落ちます」といってボールの底の栓を抜いてみせたが、水はやはりボールの中で渦を巻いて落ちていった。クラークでさえそうなのだから、SF作家のいうことをうかつに信用してはいけない。

 私が引きずっているのは、前回触れた、竹熊健太郎氏の提言ツイートに端を発する、マンガの左右問題だ。不正確な要約は誤解を誘発しかねないので、ご本人のツイート原文を以下に引用する。

 

「これは僕、事あるごとに主張していますが作家は勿論、編集者・読者を含め一人も同意を得ておりませんが、日本漫画は10年以内に横書き・左開きに移行しないとこれ以上の市場展開は不可能だと思います。」@kentaro666 2013-04-16 05:27:21

 

「つまり私は10年と言わず5年以内に縦書き右開きから横書き左開きに漫画の表記構造を変えなければ、海外人口の何パーセントかは存じませんが、実に微々たる数の海外日本漫画マニアの枠から市場が拡大する事は未来永劫ないのではないかと危惧しています。しかしこれは喫緊の課題だと思うのです。」@kentaro666 2013-04-17 01:07:07

 かなり極端な提言だったため、最初は実作者側からの脊髄反射的・感情的な反撥も多かったが、2週目に入り、竹熊氏を支持する実作者の人のツイートもちらほら見かけるようになった。

 私の見る限りでは、大部分のマンガ関係者は、対立点は対立点として反証の論拠とする具体例や数字を挙げながら、そしてまた竹熊氏の見解に部分的賛同などもしつつ、かなり冷静かつ温厚に対応しているように思える(もっとも、あらゆることの常として無礼な輩やいきなり喧嘩腰な人はいるけれども、あまり私がいえた義理ではない)。

コメント3件コメント/レビュー

そもそも、日本の読者に限るなら「左から右は読みにくい」というネットに見られる感想。あれは嘘だと思います。なぜなら、日本の本は、右から読むものも左からもあるし、縦書きも横書きもあります。それを書店で立ち読みを始めるとたちどころに(笑)方向を判断して読み始めているんですから。漫画に限ってはこのよくある事例が適用されないなんておかしい。これも竹熊氏のご意見に対する賛否いずれにもなりませんが・・・。でも、逆に海外で左から右に読むようにして出版し直したら売れたという事例も、どの程度売れたか、今後も売れ続けるか、疑問ですね。もう少しみんな韓国の事例をよく見るべきだと思います。(2013/05/02)

「とり・みきの「トリイカ!」」のバックナンバー

一覧

「煙は左か、右からか」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

そもそも、日本の読者に限るなら「左から右は読みにくい」というネットに見られる感想。あれは嘘だと思います。なぜなら、日本の本は、右から読むものも左からもあるし、縦書きも横書きもあります。それを書店で立ち読みを始めるとたちどころに(笑)方向を判断して読み始めているんですから。漫画に限ってはこのよくある事例が適用されないなんておかしい。これも竹熊氏のご意見に対する賛否いずれにもなりませんが・・・。でも、逆に海外で左から右に読むようにして出版し直したら売れたという事例も、どの程度売れたか、今後も売れ続けるか、疑問ですね。もう少しみんな韓国の事例をよく見るべきだと思います。(2013/05/02)

以前にもあったけど「参考度」「お勧め度」の尺度表示が違うなぁ(苦笑。絶対褒め言葉としての「参考にしてはいけない」「お勧めしたら友達なくすぞ」が最高評価にならなくては!(2013/05/02)

さすがはバランスの人、とり先生。『この状況は竹熊理論にとって反駁にも補強にも使えるのが面白い。』『……ちりぢりバラバラになれば、世間的にはまだマイナーな存在だ。』▼以前、お仕事で某アメリカのマンガ・アニメ系のフェスを観る機会がありまして。確かに"その時だけは"万単位の人が集まっていたのですが、私の感想もとり先生と同じでした。(それが左右問題に帰すのかどうかは別ですが)少なくともアメリカでは、アレはまだまだオタクだけの文化です。断言。▼今現在も続く、かの竹熊ツイートに併せるかのような、まさかの2連投、堪能させていただきました。▼マンガもサイコー!w(2013/05/02)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長