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タイで大卒初任給10倍の家電を売る方法

2013年5月10日(金)

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 3月末にタイ・バンコクへ出張した。現地の天気予報サイトによると、体感温度は44度。湿度が少なくカラッとしているが日差しは強い。体温よりも暑いタイで日本の電機メーカーは、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電で韓国メーカーなどと熱い戦いを繰り広げている。

 白物家電はデジタル家電などと違い、現地の生活様式に合わせた商品を投入する必要がある。というのは当たり前の話なのだが、バンコクでは特に現地化の極みのような商品企画に脱帽ものだった。

 たとえば現地で販売する冷蔵庫の庫内には、なぜかフックがついている。なぜこんなものがついているのかと聞くと、ビニール袋を引っかけられるようにしているのだという。バンコクの町では、屋台で夕食のお総菜をビニール袋に入れて売っている。冷蔵庫にフックがあれば、これをそのままつるして保存できるのだ。色も、日本では白やメタルが人気だが、タイ人の好みは派手だ。ピンクやオレンジなど明るい色の冷蔵庫に人気があるという。こうした好みは、日系メーカーの商品企画部隊が現地の家庭訪問を繰り返すなどして情報収集しているのだという。

 最近日系メーカー各社が狙いを定めているのは高級家電市場だ。タイの大学卒業者の初任給は1.5万バーツ(約4万9500円)と言われている。最も高い冷蔵庫は10万バーツ(日本円で約33万円)でも売れる。この冷蔵庫はガラストップ加工をした扉で、前面に製氷機もついている。優れたデザインで応接間に置ける大型冷蔵庫を投入し、シェアを拡大しているのだ。

 日本で大卒初任給の10倍となると、約200万円(19万9600円、厚生労働省調べ)。乗用車の平均購入価格(214万円、内閣府調べ)が似た価格帯になるが、日本で冷蔵庫に200万円をかけるとは想像しづらい。タイのほかに中近東の富裕層に人気なのだという。

 高額商品を買ってもらうためにどうやって消費者の背中を押しているのだろうか。日系メーカーは日本流の営業手法で取り組んでいる。白物家電はテレビなどAV製品と同じような販売方法では売れない。展示しただけでは商品の良さが伝わらないからだ。日系メーカーは、商品の良さを丁寧に説明し訴求してくれる店と組むことを重視している。外資系の大手量販店に雑多に並べることよりも、地場の電器店との関係強化に力を入れる。これは日本で専門店網を築いて販売拡大してきたノウハウが生かされている。タイでも同様の手法で販売拡大を目指している。

トラックで全国行脚し商品の良さを訴求

 この販売拡大策では電器店を担当する営業担当者が重要な役割を果たす。電器店のやる気を引き出し支援することが主な仕事である。日立アプライアンスはタイ国内にプロモーターと呼ぶ営業担当者をなんと約700人も配置しているのだ。彼らは月に20日以上出張し、担当地域の販売店に張り付く。

日立アプライアンスはタイ国内の電器店で出前セミナーを実施

 密着営業のほかにも大型トラックを改装して全国を走り回らせている。電子レンジや冷蔵庫など高級製品を積み込んで店舗前で出前セミナーを開催するのだ。観衆が見ている前で、高級電子レンジで鶏肉を焼くとコップ1杯分の脂が落ちる。見物人から歓声が上がる。こうした演出は、CMなど広告では表現しづらい、現地行脚ならではの説得力がある。日本でもショッピングセンターなどでよく見られるように、出前セミナーで調理した食材を試食してもらい製品の良さを訴求するのだ。日立セールスタイの安中成春マネージングディレクターは「価格が高い理由をきちんと説明すれば買って頂ける。日本で培った泥臭い営業ノウハウが生かされている」と話す。

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「タイで大卒初任給10倍の家電を売る方法」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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