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実は旅順艦隊を無力化していた黄海海戦

2013年5月14日(火)

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[一般のイメージ] 日本海軍は、黄海海戦においてロシアの旅順艦隊を迎撃したが、敵に決定的な打撃を与えることに失敗した。
←日本海軍は、黄海海戦において旅順艦隊を実質的に無力化することに成功した。

 開戦時に日本の奇襲攻撃を受けたことで、旅順艦隊は、要塞に守られた旅順港内にとどまり、戦力を温存する作戦に切り替えた。しかし日本海軍としては、バルチック艦隊が極東に到着する前に、旅順艦隊を撃滅しなければならなかった。ようやくその機会が訪れたのが、1904年8月10日の黄海海戦である。

脱出を図るロシア艦隊

日本側は、4隻の戦艦(「三笠」「朝日」「敷島」「富士」)と4隻の装甲巡洋艦(「八雲」「浅間」「日進」「春日」)で艦隊を編成していた。それに対するロシア艦隊は、6隻の戦艦(「ツェサレーヴィチ」「ポベーダ」「レトヴィザン」「ペレスヴェート」「セヴァーストポリ」「ポルタワ」)を主力としており、戦力的には互角だった。

 かつて6月23日に旅順艦隊が出撃した時には、交戦しようとせずに旅順港に引き返した。そのため日本艦隊は、まずは逃げ道を塞ごうとして、敵艦隊と旅順港の間に割って入る方向に針路を取った。しかし今回は事情が違った。旅順艦隊は、ウラジオストックに向けて脱出する計画だったのである。

 旅順艦隊は、背後にまわった日本艦隊をそのままにして、速度14ノットで離脱を図った。14ノットとしたのは、開戦前から「セヴァーストポリ」の機関が不調で、それ以上のスピードを出せなかったためである。ただし、そのトラブルがなかったとしても、「セヴァーストポリ」と「ポルタワ」の最大速力は16ノットにすぎない。長時間にわたって最大速力を発揮することは難しいので、旅順艦隊にしてみれば、どのみち14ノットが限界だった。

 一方の日本側は、15時20分に敵艦隊の意図に気づいて追撃を開始した。日本艦隊は、数カ月にわたって旅順港の封鎖作戦を続けていたため、艦底に海草や貝殻が付着して速度が低下していた。しかし、もともと戦艦の最高速力が18ノット、装甲巡洋艦が同20ノットと高速艦艇を揃えていたため、15.5ノットのスピードで追跡することができた。

コメント3件コメント/レビュー

相変わらず、別宮暖朗氏と兵頭二十八氏の著作の読者にとっては、常識の範囲のお話です。日清戦争直後の三国干渉で返還させた遼東半島をロシアが掠め取り、旅順を軍港化。しかるに、旅順とウラジオ間の距離がありすぎるため、途中戦闘で高速発揮すれば石炭切れを起こす恐れがあること。それを避けるために、朝鮮領の龍岩浦を寄港地にしようと軍事施設を設けたこと(龍岩浦事件。西=ローゼン協定違反であり、日英同盟発動の要件)が、日露戦争の発端となったこと、その辺をもっと詳しく解説して下さい。(2013/05/14)

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「実は旅順艦隊を無力化していた黄海海戦」の著者

樋口 晴彦

樋口 晴彦(ひぐち・はるひこ)

警察大学校教授

危機管理、リスク管理に関して広い知見を有し、特に企業不祥事の研究では第一人者。また、戦国時代、日清・日露戦争、第二次世界大戦などの戦史をマネジメントの観点から分析。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

相変わらず、別宮暖朗氏と兵頭二十八氏の著作の読者にとっては、常識の範囲のお話です。日清戦争直後の三国干渉で返還させた遼東半島をロシアが掠め取り、旅順を軍港化。しかるに、旅順とウラジオ間の距離がありすぎるため、途中戦闘で高速発揮すれば石炭切れを起こす恐れがあること。それを避けるために、朝鮮領の龍岩浦を寄港地にしようと軍事施設を設けたこと(龍岩浦事件。西=ローゼン協定違反であり、日英同盟発動の要件)が、日露戦争の発端となったこと、その辺をもっと詳しく解説して下さい。(2013/05/14)

非常に参考になる話でした。3隻の戦艦だけでも脱出したらという戦術は面白いと思います。海軍の構想、戦略の重要性を再度認識しました。(2013/05/14)

「無力化した」でなく「無力化したが、そのことに気づけなかった」が本当の結果ですよね。たぶん、次回以降で取り上げられるであろう旅順攻防戦に関して、そのあたりも触れられるのでしょう。楽しみです。(2013/05/14)

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